阪神はヤクルトに2試合連続で完封負けを喫した。近鉄と日本ハムをリーグ優勝に導いた元監督で、日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(68)は、2試合続いた阪神佐藤輝明内野手(23)と村上宗隆内野手(22)の両主砲の明暗を分析。特に今季は左方向への打球が多い傾向が出ている村上への外角勝負は、間違いだったのではと指摘した。

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村上に打たれ、佐藤輝が封じ込められた。対ヤクルトの連敗は、若き主砲が明暗を分けた。

梨田 阪神は6連勝で勢いづいたはずが、ゴールデンウイークで超満員の甲子園で完封、完封の連敗は寂しいよね。ヤクルトにとって「佐藤輝対策」の成否はカギを握ったから、カード初戦から先発の小川、石川が2試合続けて無安打に抑えたのは大きかった。逃げて、散らしてでなく、攻めて、攻めての配球が吉と出た。逆に阪神は2戦続けて4番村上にやられた。

1点リードされた阪神は6回表、三塁糸原の失策と青木の左前打で、1死一、二塁。村上に対した秋山-坂本バッテリーは、2-2からの外角ストレートを左越えに適時二塁打を浴びた。今シーズンの村上が放った安打の打球方向は「左」がもっとも多い傾向にある。

梨田 秋山が1ボール2ストライクから内角の際どいところに突っ込んでいったが、村上は反応できなかった。阪神バッテリーは2-2になって外角に真っすぐを選択したところを、村上にうまく左方向に打たれた。昨年あたりから村上はシチュエーションによって強引さを押し殺し、コースに逆らわず素直に打ち返す傾向が強い。前日3日も左越え本塁打を運ばれたし、まんまとやられた。ただ一点、わたしが捕手だったら、あそこで外角ストレートのサインの選択はなかったといえるだろうね。

またも先発石川を打ち崩せず。1回から近本の走塁死も痛かった。そして3回2死三塁から、塩見に先制の中前適時打を許し、優位に試合を運ばれた。

梨田 好調時の石川はより手元でボールが変化するから、高めも、低めも、コースも投げ分けられて打ちあぐねた。3回は2死二塁が秋山の暴投で三進を許し、3-1から一塁に歩かせたくないと心理が働いたのか、ストレートで勝負にいって打たれた。ヤクルトもつながりがあるわけではないから、なんとか阪神は踏みとどまりたい。【取材・構成=寺尾博和編集委員】