エンゼルス大谷翔平投手は、それほど調子が良くないように見えた。特に直球はストライクとボールがはっきりして、だいぶ暴れていた。前回3球あった100マイル(約161キロ)以上が出なかったのも、力を抑えながら気を付けて投げたからだろう。リリースのところだけ、力を入れているように見えた。それでも90マイル台後半が出せるのは、日本人メジャー投手でも大谷とダルビッシュぐらいだろう。

真っすぐの制球が良くない分、スライダーとスプリットは良かった。特にスライダーを中心に投球を組み立てていたが、右打者だけでなく、左打者の外角にもバックドアで使えていた。投手というのは、すべての球種が良いという試合は年間を通してほぼない。1つの球種が悪くても、別の球を軸にできる。この点は、今年の大きな成長として感じられる。

大谷の投球は、両サイドのコースにビシビシと投げ分ける制球力があるわけではない。散らばっていながらも、この日も2四球だけと、大まかにストライクゾーンには来る。球速がある分、適度に荒れた方が、打者には打ちにくいのだろう。逆にまとまったら、打ちやすくなるかもしれない。シアトルの球場は広く、ボールも飛びにくいので投手有利。本拠地のアナハイムより、思い切って投げやすかっただろう。

オールスター前の6月は、疲労がたまる時期でもある。大谷は特に、打者としても2安打したように、打って投げてと負担がかかる。この日のように調子が悪い中で勝ち星を拾えれば、今季は念願の2桁勝利が達成できるだろう。

大谷が勝ったのは日本人としてうれしいが、古巣のマリナーズは心配だ。補強はしたようだが、打線があまりにも弱い。シーズン最多タイの116勝を知るOBとして、奮起を促したい。(日刊スポーツ評論家)

マリナーズ対エンゼルス 5回表エンゼルス2死、左前打を放つ大谷(撮影・前田充)
マリナーズ対エンゼルス 5回表エンゼルス2死、左前打を放つ大谷(撮影・前田充)
マリナーズ対エンゼルス 5回裏マリナーズ2死、クロフォードの飛球を右翼手マーシュが好捕し、指を突き上げる大谷(撮影・前田充)
マリナーズ対エンゼルス 5回裏マリナーズ2死、クロフォードの飛球を右翼手マーシュが好捕し、指を突き上げる大谷(撮影・前田充)
マリナーズ対エンゼルス 5回裏マリナーズ2死、クロフォードの飛球を左翼手マーシュが好捕し、声を上げながらベンチへ戻る大谷(撮影・前田充)
マリナーズ対エンゼルス 5回裏マリナーズ2死、クロフォードの飛球を左翼手マーシュが好捕し、声を上げながらベンチへ戻る大谷(撮影・前田充)