今季4人目のノーヒットノーランが出た翌日に、41歳和田にピッチングの本質を見た。早大の後輩早川との投げ合いではストレートの使い方に違いがはっきりと出た。

和田は3回までストレートの比率が75%(36球中27球)。対する早川は46%(61球中28球)。和田が初回、浅村を高めストレートで空振りに仕留めたように、序盤から質の良さがあった。コースと高低をコントロールしており、なおかつ強打者がストレート待ちの中でも空振りを奪えるところに、球威、キレがある。

スピードがあるから抑えるという分析が多数見受けられるが、投手の生命線は決してそれだけではない。それを証明したのが41歳の和田というところに説得力がある。

6回1失点の和田はトータルでも62%がストレート(71球中44球)。早川は43%(96球中41球)。ストレートを軸に和田がピッチングを組み立てていたのが分かる。3回、打者川島にカウント3-0から4球続けてストレートでフルカウントとし、最後は外のスライダーで見逃しに仕留めた。

序盤から力を込めてストレートを使い、最後までそれを軸に楽天打線を抑え込んだ。早川は先輩の姿から多くを学んでほしい。3回、グラシアルに外角ストレートを右翼へ運ばれたが、こうした甘いストレートをいかになくすか。考えることは多い。

スピードがあるから抑えられるというのは、あくまでもひとつの要素。スピードはあるに越したことはないが、最速145キロの和田が、同149キロの早川に投げ勝った。アベレージにしておよそ5キロ差もありながら、こうした結果が出る。ピッチングの奥深さを感じる。

楽天は3連敗。ただ、2軍に目を移すと、和田恋、内田、黒川ら打撃好調な野手がチャンスをうかがっている。この試合で田中貴が代打出場も、見逃し三振に終わった。1軍と2軍ではレベルに大きな開きがある。せめて振ってほしいが、そうは簡単に振らせてくれないのも事実だ。

それでも、虎視眈々(たんたん)とチャンスを求め、2軍で結果を出している野手はまだまだいる。そうした若手にチャンスを与え、打線を活性化することも今の楽天なら可能だ。まだ6月、これからいくらでも挽回はできる。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対楽天 日米通算150勝を達成し、記念ボードを掲げるソフトバンク和田(手前)(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対楽天 日米通算150勝を達成し、記念ボードを掲げるソフトバンク和田(手前)(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対楽天 楽天先発の早川(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対楽天 楽天先発の早川(撮影・屋方直哉)