エンゼルス大谷翔平は初めて3連敗となったが、この試合はさすがにスライダーが多過ぎた。全投球の62%がスライダーで、直球は20%。本塁打を打たれた6回は、完全に狙われていた。2番ラウレアーノは3打席の全10球がスライダーで左前打を打たれ、勝ち越し2ランの3番マーフィーにも待たれていた。

前半はスライダーが多めでもいいが、打線の2周り目以降には、目先を変えていくことも必要だ。大谷の一番いい球は直球。真っすぐを投げてこそスライダーが生きる。6試合ぶりに最速が100マイル(約161キロ)に届かなかったが、直球が20%とは大谷らしくない。捕手スタッシとも、配球についてもう1度話し合った方がいいだろう。

スライダーを曲げようとして、体の使い方が横投げのようになっていた。時折、意図的に腕を下げたりしているが、踏み出す左足もクロス気味に三塁側へ入っていた。こうした投げ方は左打者の外角には投げやすいが、右打者の外角には投げづらい。コントロールは体全体でつけるもので、小手先で右打者の外角へ投げようとすると、引っ掛ける。4回に暴投となった直球は、その表れだ。直球にも弊害が出ていた。

今年初めて中5日が2試合続き、疲労があったかもしれない。チームが強ければ疲労も感じないが、モチベーションの維持にも苦労する状況ではある。次回登板までに、ブルペンなどで体の軸が三塁側に向く点を修正したい。直球の質を取り戻せば、3試合の足踏みとなった2桁勝利にも手が届くはずだ。(日刊スポーツ評論家)

エンゼルス対アスレチックス 6回表途中、降板し、悔しそうな表情を見せる大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス対アスレチックス 6回表途中、降板し、悔しそうな表情を見せる大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス対アスレチックス 5回表アスレチックス2死一塁、ケンプの左前打から左翼手シエラが一塁走者マチンを刺し、雄たけびを上げる大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス対アスレチックス 5回表アスレチックス2死一塁、ケンプの左前打から左翼手シエラが一塁走者マチンを刺し、雄たけびを上げる大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス対アスレチックス 6回表アスレチックス無死一塁、マーフィー(手前)に2点本塁打を打たれる大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス対アスレチックス 6回表アスレチックス無死一塁、マーフィー(手前)に2点本塁打を打たれる大谷(撮影・狩俣裕三)