中日の今季も残すところ5試合。27日からは4勝16敗1分けと大きく負け越しているDeNAとの4連戦が予定されています。

現在、借金「10」の最下位とはいえ連覇を達成したヤクルトと広島に勝ち越し、巨人、阪神とは負け越し1つのほぼ五分の戦いをしました。DeNAとの対戦結果が順位に直結していることになります。その要因を問われても「何もない。不思議としか言いようがない」が私の回答です。DeNAとそれほどの戦力差があるとは思えないからです。

戦力が万全かと言われればそうではありません。特に攻撃力は、12球団最低の61本塁打、400得点。苦しいことは事実です。ただ、現状はそれを補えるだけの投手がそろっています。バンテリンドームという日本一の要塞(ようさい)を本拠地にしているのですから、防御を前面に立てる戦いに徹すれば、それほど負けが込むことはないはずです。

とはいえ、長期的に見れば攻撃力を強化していくことは当然、必要です。その一環として、立浪監督がバンテリンドームへのホームランテラス設置を希望しているという報道を見ました。私は評論家の立場として、球場改修議論の必要性を唱えてきました。ファンあってのプロ野球ですから、経営視点からも改善の余地は大いにあると考えるからです。

ただ、現場が今すべきことは強いスイングができる打者を1人でも多く養成することです。現状のまま、仮にホームランテラスを設置しても、簡単に本塁打増とはいかず、むしろ失点だけが増えてしまう結果になりかねません。来季以降の巻き返しに向けて、そこだけは間違わないようにしてほしいですね。(日刊スポーツ評論家)

中日立浪和義監督(2022年9月3日撮影)
中日立浪和義監督(2022年9月3日撮影)