阪神85年日本一の守護神で元投手コーチの日刊スポーツ評論家の中西清起氏(60)が、古巣の巨人戦をチェック。6番右翼で出場し、5回にオープン戦3号ソロを放つなど好調のドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)を投手目線で分析しました。

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森下は投手から見ても弱点が少なく、攻めづらい打者だ。強く振れることが一番の武器だが、体の軸もブレないから簡単には打ち取れない。それは凡打の仕方や見逃し方を見ると分かりやすい。投手は態勢を崩しにいこうとするが、頭が突っ込んだり、体を前に出されることが少ない。つまりはスイングにいった時に軸がブレない。だから本塁打した5回の打席のように、追い込まれても真っすぐでも変化球でも対応できる。

なおかつ、非凡なパンチ力がある。当たった時だけ飛ぶ選手は対策を施しやすいが、飛ばす力と確実性の2つの特長を兼ね備えた打者は攻略が難しい。打席での新人らしからぬ落ち着きは、自分の形で球を見極められているからだろう。すでにプロの投手に対応しているが、対戦を重ねて特徴を知ればさらに適応力も上がって、怖い選手になる。

岡田監督は打順について、最初は楽な6番あたりが理想と考えているだろう。でも開幕まであと8日という仕上げの段階にきて、大山や佐藤輝をはじめ、打線が湿っている。全体的に振りの弱さを感じたし、140キロ台中盤のメンデスらに苦戦したのは気がかりだ。今後のノイジー次第もあるだろうが、森下の3番も相手が嫌がり、面白いと思う。(日刊スポーツ評論家)