巨人坂本勇人内野手(34)が5月31日ロッテ戦(ZOZOマリン)で、史上初となる遊撃手での通算2000試合出場を達成した。
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プロの世界で数年間、ショートを守っていた選手なら、この記録がどれほどすごいか理解できるでしょう。私がショートでスタメン出場を続けたのは12年間です。当時、気になってショートでスタメンを張れるのは何年ぐらいなんだろうと調べると、長い選手でも10年ちょっとを超えたぐらい。「ショート12年説」というのを唱えたほどでした(笑い)。
坂本との縁は、オフの自主トレからです。原監督から「坂本に守備を教えてくれないか」と打診されて実現したのですが、それほど面識があるわけでもなく、アマ時代のつながりもありません。年長の私はいいのですが、坂本は嫌だったでしょうね。私の自主トレは結構ハードなので、つらかったと思います。2年目のオフは、私の自主トレには参加しませんでした。
「守備を教えてください」という選手にはたくさん出会いましたが、たかだか1週間やそこらの練習で劇的にうまくなる選手はほとんどいません。直後は悪いところが直っても、しばらくすると元に戻ってしまいます。「坂本も同じだろう」と思っていました。
しかし、元に戻るどころか、年々上達していきました。何年かして本人から「縦スローの大切さが分かりました。あれがなければ今のボクはありません」と聞きました。キャッチボールから縦に腕を振るスローイングを心がけ、2年後ぐらいに重要さに気付いたそうです。
きつい自主トレには来ませんでしたが、出てくる選手というのは、自分に必要なことを本能的に理解し、継続する能力があるのだと思います。昨年、やや守備に衰えが出だしたときに相談され、「軸足への体重の乗りが甘い。だから上体が高くなるし、踏み込みが弱くなって体が流れてしまっている」と私なりの感想を言いました。
オフには徹底的に下半身を強化したのでしょう。全盛期には及びませんが、今年の動きはだいぶ良くなっています。今後どこまでショートを続けられるのか見守りたいし、応援していきたいと思っています。(日刊スポーツ評論家)