阪神が敵地日本ハム戦で完敗した。プロ初先発のドラフト6位富田蓮投手(21)が3回3失点でプロ初黒星を喫した。岡田彰布監督(65)は元同僚の新庄剛志監督(51)との対決で、阪神戦初勝利を献上。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)は虎バッテリーと日本ハム打線の「カーブを巡る攻防」が勝敗を分けたと解説した。【聞き手=佐井陽介】

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阪神バッテリーは序盤から配球に苦労していました。先発はプロ初先発のドラフト6位富田投手。おそらく得意球であろうカーブを早々に選択肢から削らざるを得なくなり、配球が窮屈になったのでしょう。

カーブを巡る攻防で日本ハム打線に軍配が上がったのは2回です。無死一塁から6番マルティネス選手がカーブを左中間に落とし、好機を拡大。なおも2死二、三塁、今度は9番伏見選手が同じ球種で三遊間を割ったことで、一気に情勢が日本ハム側に傾いたように感じます。

伏見選手に先制打を浴びた1球はフルカウントからの勝負球。頼みの綱ともいえるカーブに再び対応され、阪神バッテリーは相当に苦しくなったと想像します。たとえば3回2死一塁、5番松本剛選手に12球粘られて四球を与えた打席でも、カーブは初球の1球だけ。富田投手は3回3失点という数字以上に苦しんだのではないでしょうか。

打線は下手投げからストライクゾーンで勝負を挑んでくる先発の鈴木投手に対して、なかなか攻略の糸口を見つけ出せませんでした。救援陣との対戦も含めて、9イニングを通して奪った四球は2つだけ。ある意味、ここまで貫いてきた「四球も絡めながらつなぐ野球」が間違っていないのだと再認識できたはずです。

一方、日本ハム側も課題がなかったわけではありません。少し気になったのは3回無死二塁での守備です。1番近本選手が右翼フェンス際まで右飛を打ち上げた場面。右翼手の万波選手は三塁方向へ送球しましたが、あのケースは本塁方向に投げるべきでした。

二塁走者の三塁進塁は避けられなかった大飛球。送球がそれるリスクも考えた上で、冷静に本塁送球を選ぶべきだったように感じます。新庄監督率いるファイターズはまだまだ若いチーム。細部を地道に改善していけば、さらにチーム力を上げられるはずです。(日刊スポーツ評論家)