巨人菅野はナイスピッチングだった。
初回は阪神先頭の近本に9球、粘られ、続く中野には四球。どうなるかと思ったが、尻上がりに良くなった。7回1失点で十分な内容だった。ただ、負けた以上は責任を負う。それだけの実績を誇る立場でもある。その観点から、決勝点となった大山に打たれたソロを振り返りたい。
4回2死走者なしで初球148キロが中に入り、左中間へ放り込まれた。誤算は2つあった。まずは菅野の制球ミス。捕手の大城卓はアウトローに構えていた。もう1つは、大山がストレートを狙ってきたことだ。
初回2死二塁の第1打席では、カウント2-1から同じように外を狙ったストレートが中に入ったが、右飛に打ち取った。大山は外のカットを待っていたからだろう。甘いストレートでも差し込めた。直前で外に外れるカットを見送っていた。そこに意識があるから見極められた。バッテリーはそう感じ、次の球はストレートを選択したのだろう。
第2打席。バッテリーは大山がストレートと変化球、どちらで待つかを考えた。1打席目で打ち取られたストレートか? いや、それでは単純だから変化球を待つか? 結局、第1打席のカット狙いが頭に残っており、次もストレートで入った。しかし、打たれてしまった。そんなところではないだろうか。
初球の入りは非常に難しい。よく「初球から打ってくるから気をつけろ」と言われる。そこでボールから入ると、カウントは苦しくなる。ならば、たとえ打たれても打ち取れるボールで入るのは1つの手だ。4回は2死走者なしで、4番として1発を狙ってくる場面。大城卓がアウトローのストレートを要求したのは、うなずける選択ではあった。
もちろん、結果的に決勝ソロを打たれたのだから、不用意だったと言われても仕方ない。年齢からか、ケガ明けだからか、菅野は以前のようなボールは投げられていないのが現状だ。かつてであれば、制球ミスをしても、あるいはストレートを狙われても、球威で空振りやファウルが取れていた可能性はある。
それでも、今あるボールでどう抑えるかを考えるしかない。この日、野手から奪った三振は3つだけ。今までの姿を知るファンには物足りないかもしれないが、コンビネーションや配球、駆け引きに磨きをかけることで、新たなスタイルが築けるはずだ。(日刊スポーツ評論家)




