中日も少しは意地を見せるのかと思ったが、あっさりと敗れた。先発涌井の自滅とエラーに付け入った阪神が、8安打8得点という効率の良さで、ゲーム中盤までにケリをつけた。

山田 中日は情けなかったね。涌井も四球、四球で阪神の各打者と勝負していない。それもホームゲームのマウンドなのに、着地を何度も気にしながら投げるなど、自身の調子も悪かったのだろうが、ベテランらしくなかった。攻守も含めて今シーズンの中日を象徴するかのような一戦だった。一方ヤクルト、中日と戦ってきた阪神は、もっとも組みやすい対戦カードになったと言える。

阪神の1試合平均得点は、オールスターまでの前半戦が「3・62点」(84試合)だったが、後半戦に入ってから「4・76点」(37試合)と1点以上も増えている。

山田 早々と主導権を握った阪神は、1、2番の仕掛けが成功した後は、もう流れに乗るだけで得点を重ねていった。一つ言えることは、ここにきてチャンスをモノにできるようになったことだ。この日のトップバッターは森下だが、近本、中野が機能し、大山が主軸に座っている。不動の「1番」「2番」「4番」の安定感がチームを支えている。仕方がないのだろうが、目標に向かってまい進する阪神と、まったく目標を失った中日の差は歴然としていたね。

阪神の中日戦は余裕の逃げ切りになった。8日からは甲子園で、執念をみせる2位広島との3連戦が控えている。

山田 阪神先発の西勇は点差が詰まっていると難しいが、勝ちゲームは上手に投げるタイプだからね。CSの先発としても1枚入ってこないといけない投手だろう。阪神としては「CS」「日本シリーズ」の先発ローテーションを考える時期にきているのではないだろうか。広島も抵抗をみせるはずだが、なによりプロらしいナイスゲームになることを期待している。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

中日対阪神 5回終了、選手交代を告げベンチへ戻る立浪監督(撮影・森本幸一)
中日対阪神 5回終了、選手交代を告げベンチへ戻る立浪監督(撮影・森本幸一)
中日対阪神 阪神にリードを許す立浪監督(中央)はベンチで厳しい表情を見せる(撮影・上田博志)
中日対阪神 阪神にリードを許す立浪監督(中央)はベンチで厳しい表情を見せる(撮影・上田博志)