これが開幕2試合目の一戦なのか、と思うほどのハイレベルな投手戦だった。オリックスは新外国人のエスピノーザで、ソフトバンクは今季から先発に転向したモイネロの投げ合いで始まった。

両投手が対称的だった。エスピノーザのコントロールはコーナーを突くような精度はなかった。ただツーシームにキレがあり、逆の方向に変化するカットボールやスライダーの威力が増してくる。ツーシームは、リリースの瞬間はしっかり球を抑え込むように球離れしている。球威もあって三振も取れるが、ゴロを打たせて打ち取れるタイプ。フライのアウトは4個だけで、山川をセカンドゴロとサードゴロで2併殺。順調にいけば、勝ち星を積み上げていけそうな内容だった。

ソフトバンクのモイネロも、先発の適性を存分に示した。コントロール重視の投球で、力みのないフォーム。中継ぎをしていた頃よりも、先発としての適性が合うように思える内容だった。

ただ、あまりに完璧な投球をすると、思わぬ落とし穴が待っている。4回までパーフェクトピッチングだったが、5回の先頭打者・頓宮にヒットを打たれてリズムが変わってしまった。一塁走者の頓宮は足が速くないのに、力んでクイックで投げていた。1死後、セデーニョに対して2ボールとカウントを悪くして、外角を狙った152キロの真っすぐがやや甘くなった。打ったセデーニョが見事だが、逆方向に痛恨の2ランを浴びた。

調子よく抑えていたピッチャーが失点するパターン。結果論になるが、明らかに力が入っていただけにベンチや内野手の誰かがひと間、空けてやってもよかった。

結果的に8回を投げて90球で完投した。個人的に先発投手は完投を目指して投げてほしいと思っているが、この考え方は時代遅れになっている。特にモイネロはケガも多いし、先発転向したばかり。球数が80球になった7回で降板させてもよかったと思う。勝っている試合や連敗中の試合で多少の無理は仕方ない。しかしビハインドゲームなら負担を考慮した起用でよかった。

エスピノーザにしても、モイネロにしても、両チームにとって強力な戦力になることが分かった。その一方で中嶋監督はエスピノーザを6回82球で降板と無理をさせなかった。長いシーズンを戦い抜くための「戦略」を感じる。今後、小久保監督を含めた他球団の監督が、オリックスとどうやって戦っていくのか? 同じ球団に4連覇されるのは、同じプロとして恥ずかしいと思って戦ってほしい。(日刊スポーツ評論家)