新外国人ハッチは黒星を喫したものの、先発の一角として十分期待できるものを見せてくれた。課題と見ていたクイックや一定になる投球テンポ、間合いが改善されていた。日本球界に適応しようとする姿勢が成果として見えた。最終イニングとみられた5回に2死から浴びた2ランは、本人にとっても、試合展開としても痛かった。

広島対中日 広島先発のハッチ(撮影・加藤孝規)
広島対中日 広島先発のハッチ(撮影・加藤孝規)

球数がかさんだことは、そこまで心配することではない。細心の注意を払った丁寧な投球で、バッテリー間で意図があったように感じられた。課題克服への意識からか、球威には多少影響したようにも見えたが、今意識している感覚に慣れていけば問題ないだろう。この日は横の変化球が多かったが、球威が戻ればチェンジアップがより有効になってくるに違いない。

守りではミスも散見されるが、開幕から投手を中心に広島らしい野球ができている。あとはやはり得点力だ。打順は7試合で6通り。キャンプ、オープン戦と準備し、迎えた開幕直後に外国人2選手が同時に離脱した誤算は大きい。全試合同じ打順で先発するのが「3番小園」のみでは厳しい。いくら日替わり打線とはいえ、ある程度固定する選手がいなければ、攻撃の流れもつくれない。

広島小園海斗(2024年3月撮影)
広島小園海斗(2024年3月撮影)

ここまで、ベテラン野手の貢献が目立つ。きっちりと仕事をこなす、経験ある選手の存在は大きい。ただ、長いシーズンを見ると、状態のいい小園に加え、軸となれる坂倉が打線を引っ張る存在にならないといけない。2人が打線の軸となることで、今後復帰する外国人選手や昇格する若手が力を発揮しやすい環境となる。昨季同様、長打力を欠く打線でもいかに広島らしいつなぐ攻撃をやっていくか。流れをつくる上でも、打順構成は大きなカギとなる。(日刊スポーツ評論家)