阪神85年日本一の守護神で、05年のリーグ優勝時に投手コーチを務めた中西清起氏(61=日刊スポーツ評論家)が試合をチェック。阪神は延長12回でからくも引き分けたが、開幕から低調な理由は打線にあると解説。打率1割台の中軸トリオの中でも4番大山悠輔内野手(29)の奮起が不可欠と指摘しました。【聞き手=松井清員】

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阪神が開幕から低調な要因は打線だ。四球は昨年並みに選んでいるがつながりがない。1本出てもそのあとが続かない。この日の中日柳も前日の広島大瀬良も良かったとはいえ、崩せないほどではない。日本一まで上り詰めた昨年はこうした接戦でも切り崩してきた。打線の状態は昨年に比べて、50%ぐらいに感じる。

奮起が求められるのは打率1割台のクリーンアップトリオだ。この日中野は無安打だったが、8回に同点打を放った近本とともに、1、2番は開幕から結果を出している。それが中軸に回るとつながらないケースが目立つ。特に状態が上がらない4番の大山は気がかりだ。7回に大きな中飛を放ったが、昨年なら本塁打にできていた。体が開き気味でバットの先っぽに当たり、とらえ切れていない。

体調は万全でないのだろう。だが試合に出ている以上、言い訳はできず、結果を出さないといけない。岡田監督は9回にヒットを打ったあと、代走を送った。延長になればもう1打席4番に回るシチュエーションでだ。仕掛けて1点を取りにいった作戦とは言え、昨年フルイニング出場させた4番を代えた意味は大きい。真意はベンチにしか分からないが、コンディションも含めて良くないと判断しての決断なのだと思う。

開幕13試合目で中軸の並びが6通りもあり、8試合連続で顔ぶれが違うところにも、岡田監督の苦心が見える。不動の中軸が期待される3番森下と5番佐藤輝も打率が1割台。森下は11回にようやく1安打、佐藤輝も二塁打のあと2三振と精彩を欠いた。中日も2点だけだったが、4番中田を中心に3番高橋周と5番細川が機能しての得点だった。下位からつなぎ、近本の適時打でからくも追いついた阪神とは内容も対照的だ。

前日の西勇、この日の青柳ら先発陣は役割を果たしている。リリーフもゲラや岩崎を中心に奮闘している。首位を走る中日も投手力を中心に状態が良さそうだが、まずは阪神が本来の姿を取り戻すことだ。投手陣が頑張っているうちに個々の中軸が状態を上げ、1日も早く立て直す必要がある。