ここにきて試合内容が悪かった巨人だが、プロ入り5年目の井上がチームの連敗を阻止した。試合前時点で今季4勝4敗で防御率3・56。素晴らしい真っすぐを投げるだけに、もっといい数字が残せそうな投手の1人だと思っていたが、中日打線を相手に6回を投げて無失点。苦しいチームを救うピッチングを見せた。

課題をクリアし、今季一番のピッチングを見せた。2点をリードした5回2死三塁で、打席に代打・高橋周を迎えた。左打者の内角を攻めると、甘くなるケースが多い井上は、今試合前まで右打者2割1分9厘に対し、左打者は2割7分5厘。高橋周にしても、対右投手2割5分9厘に対し、左投手は2割9分7厘。絶好の条件で、中日ベンチが勝負に出たといっていい状況だった。

カウント1-2になって、捕手の岸田のサインに首を振って内角のツーシームを選択。ここで井上はホームベースから内寄りに外れるボールゾーンへ投げ込んだ。この球は見逃されてボールになったが、次球の外角真っすぐで空振りを奪い、無失点に切り抜けた。

左打者の内角を厳しく攻められる左投手というのは、意外と少ない。井上も甘くなりやすいが、勝負どころだけでも厳しく攻められるようになれば、勝てる確率はグンと上がる。今試合のピッチングが、それを物語っていたと思う。

ただ、まだまだ課題はある。3回無死一塁、送りバントの構えをしている投手のメヒアに真っすぐを続けて2ストライクに追い込んだ直後だった。首を振ってスライダーを投げ、ファウルでスリーバント失敗になったが、この場面は慎重に変化球ならボールゾーンへ、勝負にいくならバントを失敗している真っすぐだろう。メヒアの技術が低すぎてスリーバント失敗に終わったが、勝負に対する厳しさを出してほしかった。

そして4回1死一塁、自ら送りバントをしたが、初球の高めのボール気味の真っすぐをファウルし、2球目は完全な高めのボールゾーンの真っすぐをバントしてフライを上げて失敗した。バント技術を語る前の話だが、ボールゾーンは見逃せるようにしないと、いつまでたっても成功率は上がらない。

投球のレベルは上がっている。次の先発で結果を出せば、ラストスパートの9月でも期待できる。さらに「勝てる投手」に成長するためにも、投げる以外の技術向上を目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)

中日対巨人 1回裏、登板する巨人先発の井上(撮影・森本幸一)
中日対巨人 1回裏、登板する巨人先発の井上(撮影・森本幸一)
中日対巨人 3回裏中日2死一塁、福永の打球に好守備を見せ遊ゴロとした門脇(左)とタッチを交わす井上(撮影・足立雅史)
中日対巨人 3回裏中日2死一塁、福永の打球に好守備を見せ遊ゴロとした門脇(左)とタッチを交わす井上(撮影・足立雅史)
中日対巨人 試合終了、ナインを迎える井上(左)(撮影・森本幸一)
中日対巨人 試合終了、ナインを迎える井上(左)(撮影・森本幸一)