巨人井上とDeNA石田裕の素晴らしい投手戦だった。とはいえ両投手ともまだ若く、完投を期待していいほどの実績は残していない。勝負は試合終盤の継投になると思っていたが、予想通りの展開になり、DeNAが継投に失敗した。

まずは状況を振り返っておこう。1点をリードしたDeNAは7回裏、5番から始まる打順で先発の石田裕を続投させた。今試合のピッチング内容はよく、この判断に異論はない。ただ、6回までの球数は83球で、前回の登板(103球で降板)と同じようなロースコアの投手戦で逆転負けしている。すんなり抑えられればいいのだが、ベンチが注意しなければいけないのは、同点の走者を出した状況で代打を送られる場合だった。

巨人の代打陣を見れば、右のスリークオーターの石田裕に対しては、左打者の大城が濃厚なのは分かっていたはず。2死一、三塁となり、予想通りの展開で9番の井上に代えて代打に大城が送られた。ここでリリーフした伊勢は、通算12打数5安打、被打率4割1分7厘と大城を苦手にしていた。カウント1-1から内角の真っすぐが甘くなって痛恨の逆転3ランとされてしまった。

継投策というのは結果論になりやすい面があり、あまり評論したくないのだが、行き当たりばったりの攻防になりすぎた。2つの疑問がある。まずピンチで下位打線を迎えれば、代打・大城を想定していたか? そして一、三塁から一塁走者に盗塁をされた時点で、大城とは無理に勝負する必要がないことを指示できていたのか?

先発が石田裕の時点で、継投は左投手を準備しておかなければならない。伊勢は勝ちパターンに投げさせる投手といっても、ストッパーを務めるほどの力量はない。それなら7回は臨機応変に左を準備し、特に苦手にしている代打・大城がいるのならなおさらだろう。そして1ボールからの2球目、一塁走者が盗塁をした時点で一塁が空いたのだから次打者で長打力のない浦田との勝負も考えるべき。それが長打力のある大城に対し、長打の危険が高い内角の真っすぐを要求し、痛い目に遭ってしまった。

継投する場合を想定した準備や、状況が変化したときの指示が出せていたのか? これを結果論として片付けていたら、今後もこうした逆転負けは増えるだろう。ブルペンコーチやバッテリーコーチは、そうした指示を選手に伝えるのも重要な仕事のひとつ。悪い流れになったときを想定し、それに備える準備は難しいが、それができるチームとできないチームの差は大きい。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 7回裏巨人2死一、三塁、代打大城に逆転の3点本塁打を浴びる伊勢(撮影・たえ見朱実)
巨人対DeNA 7回裏巨人2死一、三塁、代打大城に逆転の3点本塁打を浴びる伊勢(撮影・たえ見朱実)