博多の桜はもう満開となった。1週間ほど前まで、寒さに身を縮める日も多かったが、アッという間の開花である。明日30日は満開の桜の中で、工藤ホークスも4年目の船出を迎える。

 現役時代を振り返った王会長はしみじみとした口調で話してくれた。「開幕日はね。家族の前でいつも言ってたね。『これからシーズンの間、いろいろと迷惑をかけるけど、よろしく頼むね』と」。尾頭付きのタイを前にして王さんのこの言葉が「世界の王」の開幕日の「儀式」だったようだ。

 「野球選手にはゴールデンウイークも夏休みもないじゃない。だから子どもたちにはね。さみしい思いもさせるからね。周りの人たちは家族で旅行とかに出かけるときに、こっちは行けないわけじゃない。まあ、だからね」。キャンプインから約2カ月。文字通り「サクラサク」の選ばれた者たちが、戦いのスタートを切る。「なんだかんだ言っても、(シーズンが)始まったらやるしかないんだからね」。王会長はそう言って選手たちを鼓舞した。

 連覇を狙うホークスにとって、チーム状況は「満開」とは言い難い。先発投手陣がここに来て結果を残せない。開幕投手の千賀が右腕の張り、武田、東浜、バンデンハークまでが開幕前の最終登板で打ち込まれた。今季はホークス球団創設80周年の記念の年。ちなみに70周年(08年)は最下位、75周年(13年)は4位。ソフトバンクとなって、なぜかメモリアルイヤーはBクラスに沈んでいる。今年こそ、そんなジンクスは完全払拭(ふっしょく)してもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】