西武十亀剣投手(30)が“新・雨男”を襲名してしまった。

 6日のDeNA戦(横浜)が雨天中止。先発が雨で流れるのは4月24日のソフトバンク戦(北九州)に続く今季2度目だったが、「もう4回目ですよ。北九州、ヤフオクの開く日、広島…」とボヤいた。

 中止にはならなかったが、ルーフオープンシリーズだった5月23日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)も雨が降り、試合前の練習中は開くはずの天井が閉じられた。同30日の広島戦(マツダスタジアム)は、中断になったほど強い雨の中での登板だった。

 それにしても、なぜ今年はこんなに雨に当たるのか。実は思い当たる節があるという…。

 「前は岡本さんが雨の日が多かった。仲良かったから、受け継いでしまいましたね。洋介さんのせいですよ!」

 西武の雨男といえば去年までは岡本洋介投手が知られていた。だが、開幕前に阪神に移籍したため、十亀に雨男が引き継がれた!? 真実は不明だが、周りからも「やっぱり」と言われるそうだ。

 その岡本とは阪神が交流戦でメットライフドームに来た際、一緒に食事に行く約束をしていた。ところが、約束を果たす前に岡本が登録抹消。十亀は「岡本さんに、雨男をお返しするはずだったのに」と残念そうに話した。食事は、またの機会にお預けとなったが、雨男でも動じないだけの経験を積んでいる。

 6日の中止は午後4時過ぎに伝えられた。同時に翌日7日のナイターにスライドで先発することが決まった。登板に備え、横浜の宿舎で静養に努めた、わけではなかった。

 「ホテルに半日以上、缶詰なんて。張り詰めたままでは、もちませんよ。外に出て気分転換しました」

 食事に出かけた。登板前日のため酒は控えたが、仲間と語らい、うまいメシを食い、リラックスした。7日は6回2/3、5安打5失点。残した走者をリリーフがかえしたため、失点はかさんだが、6回までは2失点に抑えており、試合はちゃんとつくった。

 若い頃は登板前日に外に出かけることは、なかなか出来なかったという。

 「周りから『先発前日なのに』て言われるのも嫌で。でも僕もいろいろ経験を積んだ。スライドになっても体は大丈夫。それよりも気持ち、心に余裕を持つことの方が大事なんです」

 プロ7年目。雨にも負けない、たくましさを身につけている。【西武担当 古川真弥】