今季初めてグラウンドで心から出た笑顔だったかもしれない。DeNA石田健大投手が中継ぎ転向直後のマウンドで結果を残した。8月28日中日戦。6回から上がり、2回無安打4三振と完璧の内容。攻撃に流れを呼び込み、チームは7回に勝ち越した。試合直後、ホッと一息つく石田を主将の筒香嘉智がねぎらった。主砲が特に気に掛けている後輩投手。2人は本当にうれしそうだった。

とはいえ、シーズン途中の配置転換という難しい状況で、不安がないはずがない。ブルペンでは木塚投手コーチをはじめ、三上らからアドバイスを受けて備えていた。「本当にやってみないと分からないことばかり。でも野球人生どれだけ長くやれるか分からないけど、きっとこれがプラスになると思う」。いつだって、与えられた場所で結果を残そうとしてきた。だから、ようやくチームの力になれた充実感は、半端なかったと思う。

リリーフ転向に伴い、やめたことはたくさんある。もともとルーティンを大切にする選手。先発登板前日は必ずカレーを食べていた。「プロ2年目のとき、それで結果が出たのでずっと続けている」。ほかにも、前夜のパジャマは必ず同じで、遠征先にも持って行く。当日練習着もお決まりのシャツを着る。でも、リリーフとなればすべてを続けることができない。「全部やったら大変ですよ」。気持ちと一緒に中継ぎ仕様に切り替えていた。

プロで飯を食っている男だ。貫きたいスタンスもある。ただ変える勇気も時として必要。チームのために、勝利のために変化を恐れなかった立ち居振る舞いは、ただただカッコイイ。【DeNA担当 栗田成芳】