液晶に映る歓喜の映像が、背番号13を奮起させる。今季開幕前に西武からトレード移籍した阪神岡本洋介投手(33)が、古巣のリーグ優勝に「もちろん、元々いたチームなので(西武の)試合はチェックはしますよ」と祝福した。

獅子軍団は10年ぶりのリーグV。10年から在籍した岡本は8年間で優勝経験がない。「だけど、ちょうど胴上げのタイミングは見れてないんです」と寂しげな表情で答える。

皮肉なものだ。トレード相手だった榎田が先発ローテーションの一角を担い、2桁勝利。胴上げには満面の笑みで参加していた。「(榎田の成績は)そんなに気にはならないですね。(結果を)気にして見ても、自分は自分。与えてもらったところで結果を残すだけなので」。今季はここまで29試合に登板して1勝0敗。防御率は4・17だが、存在感がある。主にビハインドの展開でマウンドに上がることが多いが、9月17日DeNA戦(横浜)では先発マウンドに上がるなど「なんでも屋」としての地位を築いている。

支えがある。春先、真正面から告げた。「トレードを(球団に)言われて、家に帰ってすぐに(家族に)言いました。『阪神にトレードだって』って」。報告後即、引っ越しを決めた。「元々、東京には縁もゆかりもないので、思い切って引っ越すことができました」。家族で関西へ。頑張れる理由がある。移籍1年目は躍動感のある投球で、窮地の虎を支えている。「野球をやることに変わりはないので。CSを目指してやっていくだけです」。虎で歓喜の瞬間を味わうために-。今日も黙々と投げ込んでいく。【阪神担当 真柴健】