<パCSファイナルステージ:西武5-6ソフトバンク>◇第5戦◇21日◇メットライフドーム

天高く馬肥ゆる秋…。秋晴れのすがすがしい空気の中、ホークスがCSファイナルの激戦を制した。シーズンは2位に終わったが、短期決戦で無類の力を発揮。昨年の日本一チームが苦境のシーズンを乗り越え「下克上」を果たした。「馬肥ゆる」ならぬ「鷹肥ゆる」秋であった。中国故事によると、「馬肥ゆる」はかつて北方騎馬民族が夏場の草をしっかり食した馬ととともに攻め入る、という警戒の秋を意味しての言葉だったようだ。西武にとってはまさに「鷹」がさらに爪を研ぎ、攻め入ったようなものだったろう。どう猛な獅子の牙も通用しなかった。

この5戦、「打撃戦」を制したようで、実は「投げ勝った」ように思う。第2戦からはミランダ、千賀、東浜の3先発投手がともに中4日で登板。首脳陣は早め早めの継投策を準備して戦った。ファイナルシリーズに入ってさらに投手ミーティングで投手陣に植え付けたのが「攻め」の気持ちだった。「打たれてもいい。かわす投球はいけない。攻める投球をしろ。(西武打線を)怖がるな」-。この日、先発した新人サブマリン高橋礼も思い切って腕を振った。

若田部投手コーチは言った。「ストライクの中でしっかり勝負できたのではないでしょうか」。西武の粘りもあって4点を失ったものの、5戦目は1四球。僅少差の試合でやはり西武は四死球絡みで2点を失っていた。サファテ、岩崎、和田…。大きな戦力を失って戦い続けた投手陣が、まさに「奮投」した短期決戦ではなかっただろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】