日本ハム宮台康平投手(23)が11月19日に初めて契約更改交渉に臨んだ。20万円アップで1発サインしたが、笑顔はない。表情は引き締まったまま、記者会見で受け答えしていた。冷静に、置かれている立場を再認識していたからだ。

宮台 本当に正式な契約というか、あらためて1年契約というのを思い知らされました。来年も同じようにある保障はどこにもないので、1年1年、全力でやっていかなきゃいけないなとあらためて感じました。

今季は1年目で1軍デビューを果たした。大卒ルーキーでも1軍の舞台にたどり着けないまま、ユニホームを脱がざるを得ない選手もいる。順調にプロ野球人生を船出したようにも見えるが、全く浮かれていない。契約更改の席で「1年契約」という先が保障されていない厳しい世界を実感するあたりは非凡な思考力を感じさせた。

東大出身として注目を浴びた1年を、本人はどう感じていたのか。

宮台 それが僕のバックボーン。そこについて注目されたことはありがたいですし、それで応援してくれる方もいる。そういう人たちにとって励みになるというか、勇気づけられるようなピッチングができたらなと思います。僕のイメージは僕が作るもではないというか。みなさんが作るモノだと思うので。僕は自分が淡々と、自分のピッチングをするだけです。どう見られるかは皆さんの見え方ですから。特に、こだわりはないです。

今季1軍で先発デビューした8月23日ソフトバンク戦(東京ドーム)では真っすぐを軸に5回途中2失点だった。質の良い直球が十分に1軍で通用することは、証明できた。自分の置かれた立場を正確に理解する類い希な頭脳を持つ左腕の、2年目の飛躍が楽しみだ。(金額は推定)【日本ハム担当 木下大輔】