オープン戦で、ヤクルトの若手選手がアピールを続けている。

特に野手では、侍ジャパンに初招集された村上宗隆内野手(19)、レギュラー奪取を狙う塩見泰隆外野手(25)、打撃で猛アピール中の広岡大志内野手(21)らが、期待に応えている。浦添キャンプで毎日行っていた、汗をかいた練習の成果が、表れているように思う。

どんな選手に成長していくのか-。その下準備が、キャンプ中の早出練習で行われていた。午前8時半から始まるアップを終えると、まずはメディシンボールを使った体幹トレーニングに取り組んだ。メニューを作成した石井琢朗打撃コーチ(48)は「『早出=打ち込み』という概念はなくして、体幹やボディーバランスを基本線に考えた。技術系練習の前の練習。おろそかになりがちな部分だけど『下ごしらえ』をメインにした」と振り返る。

黙々と行う地味な練習。しかし、それが基礎を作る。体幹メニューを多く取り入れた理由は、昨年のシーズン中にあった。頭で理解していても、うまく体で表現できない選手がいることに気付いたという。「どうしても、体の使い方がうまくないなと思った。そこでアプローチを変えた。(選手は)つまらないかもしれないけど、いかに丁寧にやれるかが大切になる」と意図を明かした。

体幹メニューの後には、バットを放り投げる練習や、自らトスを上げてノックバットで遠くに飛ばす練習、縦に振ることを意識付けするフェンス際での素振りなど、一工夫された打撃練習を行った。1種類だけでなく、バリエーションの多い練習をすることで、選手それぞれの課題に合致する部分も多くなる。練習試合やオープン戦の打席を通じ「早出練習でやっていたことが『あ、これだったんだ』と分かる瞬間があった」と手応えをつかんだ選手もいた。

地道な練習を積むことで、石井琢コーチは「プレースタイルや、打席での立ち居振る舞いにつながる」と期待する。下ごしらえを経て、技術を磨いていく。【ヤクルト担当 保坂恭子】