<楽天1-6ソフトバンク>◇14日◇楽天生命パーク

杜(もり)の都・仙台は今、桜満開である。ホークスの本拠地・福岡は、開幕のころに見ごろを終えたが、列島はやはり南北に長い。花冷えの敵地に乗り込んだ首位決戦3連戦。ソフトバンクはきっちり2勝1敗と勝ち越した。開幕3連勝の勢いとまではいかないものの、この春2度目の満開桜に、チームも乗った。

他5球団をちょうど1回りして9勝4敗(2分け)。故障者続出のチームにあっては十分すぎる数字である。この日、助っ人ミランダが左膝痛のため登録抹消されたが、スアレスも控えているし、バンデンハークの復帰もそう遠くはなかろう。和田の復活もカウントダウン。「いやになるほど、選手がいますからね」。ある楽天関係者もうらやましげに言った。

「グラウンドには銭が落ちている」。そう名言を残したのは南海時代の名将・鶴岡一人監督だった。8番甲斐の1号先制3ラン。打撃不振の上林が2点打を含む猛打賞など計6点。暗い表情だった若鷹2人にも少しばかり笑顔が戻った。勝利もさることながら、野手の年俸査定は「打撃重視型」。打たなければグラウンドの銭は拾えない。

楽天の本拠地は今季から完全キャッシュレス化となった。プロ野球球場としては世界初の試みで、球場前では係員がPRに忙しい。親会社が運営するクレジットカードやアプリ決済で観客は買い物や飲食をする。球場に銭(現金)は落ちていない? のである。そのぶん、ドリンクなどの割引やポイント還元など、入場者にメリットもあるようだ。

ロッテ、日本ハムとの前カードは2勝3敗(1分け)と勝ち越せなかった。3連戦で最低2勝をもくろむ工藤監督にとっては、再起のカードともなった。さらに「単独首位」という大きなポイント還元もついた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】