<ソフトバンク5-1楽天>◇4日◇ヤフオクドーム

西武が「山賊打線」なら、ソフトバンクは何打線だろう。ダイエー時代は「スーパー打線」などとも言われたが、「山賊」にも負けない豪快ニックネームがほしいところだ。この日もホームラン4発が飛び出し、楽天に完勝した。先発ミランダが制球を乱し、リズム感の悪い中での立ち上がり。いきなり中村晃の先制2ランにデスパイネの31号ソロ。しっかりと助っ人左腕を援護した。松田宣の中押し弾に、トドメは再びデスパイネの1発…。試合後、王球団会長は「ホームラン以外の得点がほしいんだけどね」と笑って4発快勝に気分よく球場を後にした。

柳田、デスパイネの大砲復帰も頼もしい限りだが、やはり「打線」はつながりが大事。長打力もありながら広角にヒットを打てる中村晃の存在もV戦線には欠かせない。この日の先制2ランで3号。今季は自律神経失調症を患い苦しんだが「打撃職人」の技は生きてきた。元西武の松井稼頭央(現西武2軍監督)は中村晃を「天才少年」と評したことがあった。だがストイックな性格でありながら、バットへのこだわりはさほどない。2年前にグリップの形状と、飛距離を追い求めるために重さを900グラムにしたくらい。「あまり、(バットは)気にしません」と言う。

8月24日のロッテ戦で今季1号を放つと、次の打席でバットを折った。最も手になじんでいた相棒だった。だが、2号を放った同30日の西武戦でも次打席(二ゴロ)で再びバットが折れた。まさか3度目も…。そう、この日の4打席目。ファウルとなった4球目にまたまたバットが折れてしまった。本塁打を放つたびにバットが折れ、「また探さなくちゃいけません」と苦笑いしたが、最後まで「快音」は響かせるつもりだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

お立ち台で笑顔を見せる中村晃(左)とデスパイネ(撮影・栗木一考)
お立ち台で笑顔を見せる中村晃(左)とデスパイネ(撮影・栗木一考)