体育館に、ハツラツとした声が響き渡った。「今日は『幸太郎先生』と呼んでください!」。日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が19日、日本プロ野球選手会と日本サッカー協会によるプロジェクト「夢の教室」で、東京・江東区立東雲小5年生の「1日先生」になった。

キャッチボールなどで触れ合った後、幸太郎先生はユニホームからグレーのスーツに着替え、教壇に立った。「何か自分の長所を見つけること。長所を伸ばしていくとテントみたいに、他も伸びてくる。長所を見つけることで夢は見つかります」と熱く語りかけた。

チームでは先輩から散らかったロッカーを片付けるように注意される立場。一転、この日は言葉を選びながらも、はっきりとした口調で「教える側」に変貌していた。「伝えたいことを、たくさん言おうと思った」。少しでも興味を持ってもらうための準備もしていた。スマホのメモアプリに“教科書”を作成。今は右肘のリハビリ中だが、その合間にコツコツと幼少期の写真などを集め、貼り付けた。「低クオリティーです」と謙遜も、投影されたモニターに児童はくぎ付け。担任の平井教諭も「話を聞くのが苦手な子が多いんですが、今までで一番聞いていました」と驚くほどだった。

普段は、おっとり&マイペースな“清宮選手”が子どもたちへ“先生”として力強く発信する姿は新鮮さだった。「夢を持つことで、人生がすごく楽しくなる」。清宮の今の夢は「メジャーリーガー」。ひょっとしたら、幸太郎先生は自分自身にも、語りかけていたのかも知れない。【田中彩友美】

「夢先生」を終え児童と笑顔でタッチを交わす日本ハム清宮(撮影・滝沢徹郎)
「夢先生」を終え児童と笑顔でタッチを交わす日本ハム清宮(撮影・滝沢徹郎)