<ソフトバンク7-2西武>◇25日◇ペイペイドーム

最近のスポーツ界、特にプロ野球界でよく耳にする言葉がある。「準備」という言葉だ。プロ野球に限ったことではなく、一般社会でも、大人でも子どもでも「準備」の大切さは理解している。「新商品の開発に向けてしっかり準備したい」、あるいは「試験に向けてちゃんと準備したい」などなど。白星を手にした投手も「準備をしっかりできたのでよかった」と言って笑顔を見せてくれたりする。この「準備」というのは、質量で個々人差がある。徹夜で試験勉強した学生も「準備」したし、理解せぬままま夜を過ごした学生も本人の中ではそれなりに「準備」しているようだ。

さて、優勝マジックを「2」とした工藤ホークス。西武に完勝した。2回までに大量6点を挙げた。3回だった。先頭牧原が二塁打で出塁。続く7番松田宣に送りバントのサインが出た。松田宣は1球目、3球目と失敗し、最後は空振り三振に終わった。チームとして確実に1点を取り、ダメを押したかったかもしれないし、今後のCSやシリーズを見据えての戦略だったかもしれない。15日のオリックス戦(京セラドーム大阪)では同点に追いつかれた後のチャンス(無死一、二塁)で松田宣に代打川瀬を告げ、川瀬がしっかり送りバントを決めたことがあった。それから約10日。松田宣にもバントがあるとするならば、それまでの「準備」をベンチはしっかりやってきたのだろうか。快勝の中で少しばかり疑問が残った。選手の準備もあれば、首脳陣の準備もある。そのワンプレーに向けて、準備させるのは監督、コーチの仕事である。

必勝に向けた妥協なきチームつくりへの「準備」はしっかり整えてもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】