<ソフトバンク5-6楽天>◇16日◇北九州
まだまだ「貯金」を切り崩すというほどではないが、ロケットダッシュの開幕8連勝からすればソフトバンクの勢いは鈍化してきた。16試合を消化し、8連勝後は3勝4敗1分け。柳田、栗原の主軸を欠いていることもあるが、打線活性へ手探りが続く。
この日は今季初めて準本拠地・北九州でのゲームだった。土壇場9回にクローザーの森が逆転2ランを浴びて痛い黒星を喫してしまったが、腐心の打線には光明もあったように思う。2点を追う2回に1死から長短5安打を集め3得点。試合をひっくり返した。同点の8回にも上林の右翼線二塁打で勝ち越し。送りバントのミスはあったものの打撃陣から「何とか1点を」という意識は伝わってきた。
試合前から藤本監督は「泥臭く」と打線に奮起を促していた。惜敗の試合後は1点に終わった8回攻撃のあと一押しを残念がっていたものの、粘りの出てきた打撃陣には「野手の方はつながりを見せてくれた」と評価した。ダメ押しとなるあと1本は出なかったが「つなぐ意識」は目覚め始めたのではないだろうか。3番に入った中村晃の打撃が象徴的だったように思う。初回の1打席目こそ3球目を遊飛としたが、3回の2打席目は一邪飛に倒れたものの楽天先発の涌井から10球粘った。5回、同点とした適時打も8球目の直球をしぶとく左前に運んだ。5回92球の涌井に3打席で21球も投げさせた。
14日のロッテ戦(ペイペイドーム)で屈辱の30イニング連続無得点にピリオドを打ったのは初回に右前適時打を放った中村晃だった。ヒーローのお立ち台で「これまで点が取れなくてすみませんでした」とファンに謝った姿は責任感の強い中村晃らしかった。
シーズンはまだ始まったばかり。今季、藤本ホークスが目指す攻撃型は「豪快さ」ではなく、粘着性のある「しぶとさ」がキーワードになるのでないだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】