<ソフトバンク2-1オリックス>◇4日◇ペイペイドーム

ソフトバンクが接戦をものにして連勝を飾った。足踏みしたチームにもようやく「黄金週間」の訪れだろうか。試合後、開閉式の屋根が開いたペイペイドームには五月晴れの空が広がっていた。

パ・リーグ最速の5000勝のメモリアル勝利でもあった。2リーグ制となった1950年(昭25)から数え始めた数字だから、72年もの間、積み重ねて到達した区切りの1勝。考えてみれば長い道のりではある。終盤の南海、そして福岡に移転してからの10年間は「暗黒の時代」だった。それでも、負け星が先行したとはいえ、コツコツと白星を重ねてこそ今がある。親会社が変わってもホークスは1リーグ時代から続く老舗球団。創設からの通算勝利も5486勝とし、5500勝まで残り14勝となった。チームが上昇気流に乗れば、今月中の達成も難しい話ではない。

1-1で迎えた6回表1死。オリックスの新外国人バレラは初球にセーフティーバントを試みた。拮抗(きっこう)した局面打開に、助っ人も何とかしたい気持ちだったのだろう。その姿を見て同じようなシーンを思い出した。田淵ダイエー時代にマイク・ラガという選手がいた。凡打するとかぶったヘルメットの上から何度もバットをたたきつけて悔しがる愛嬌(あいきょう)のある助っ人だった。不調が続いた打席でセーフティーバントしてアウトになった。試合後の田淵監督は猛烈に怒った。「そんなために取った選手じゃない! もっとしっかり打ってくれ。こっちが期待しているのはバントじゃないんだ」。戦績も振るわなかった時代である。厳しい戦いが続いたが、それでも通算5000勝に彼らの奮闘も含まれている。

試合がなかった2日は、ホークスの親会社であるソフトバンクグループが独自に制定している「恩人感謝の日」だった。毎年、ゴールデンウイーク中の平日が当てられ、グループは休日となる。孫オーナーが起業前にお世話になった経済人らをリスペクトする日として制定された。野球界に参入して18シーズン目。伝統の5000勝到達に合わせ、ホークスの「恩人」たちをたたえる日も作ってもらいたいものだ。

【ソフトバンク担当 佐竹英治】