巨人大城卓三捕手(29)が、すっかり頼れる男になって戻ってきた。打率2割2分1厘、2本塁打と苦しみ、6月2日にプロ入り後初めて不振によるファーム降格を経験した。それでも交流戦明けの同17日の中日戦で復帰してからは好調を維持。8日の試合前時点で打率2割4分7厘、6本塁打まで上げてきた。復帰後の数字だけを見れば、17試合で打率3割1分4厘、4本塁打。3日の広島戦からプロ入り後初の3戦連発を放つなど、存在感を示し続けている。

“ミニキャンプ”の成果が結果に結び付いている。ファーム調整期間、二岡2軍監督や、小笠原2軍打撃コーチに熱血打撃指導を受けた。打撃フォームや構え方、タイミングの取り方を見直し。試行錯誤しながら、日差しの照り付けるジャイアンツ球場でバットを振り込んできた。

打撃だけではない。体の使い方も見直した。全体練習の途中、石森2軍トレーニングコーチと2人で外野奥へ。完全別メニューで、ダッシュや股関節周りのトレーニングを徹底した。元々、股関節の使い方が上手なタイプではなかった大城に、1軍、2軍のトレーニングコーチ陣が話し合ってメニューを提案。本人も快く受け入れ“特別トレーニング”が始まった。

石森コーチは「ペットボトルのキャップを開けるには、片手で回してもペットボトルごと回転してキャップはとれない。もう片方の手で本体を支えた上で、キャップを回転させないと開けられない。体の使い方でも同じです」と説明する。しっかり軸を決めた上で、股関節や体を回転させる。正しい使い方を体に染み込ませて、コンディションを整えてきた。大城も「全体練習と別でわざわざやってくださったので、ありがたい」と感謝した。

1軍に上がってからも、変わらない。穴吹トレーニングコーチと、ダッシュのメニューを組み込む。始めてからは成績も上向きということもあり、すっかりやめられなくなりそうだ。原監督も3連勝&大城の3戦連発が飛び出した6日のヤクルト戦後、「経験値はあるわけですから、こういう上昇(ムード)のときにね、自分を大事にしてつなげていってほしいなと思います」と期待を込めた。

チームを代表する正捕手へ-。もちろん「打てる捕手」として長年チームを支えた阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチの領域には、打撃でも守備でも、まだ及ばない。それでも、大城の背中が、存在感が少しずつ大きくなってきたことは間違いない。【巨人担当=小早川宗一郎】

ジャイアンツ球場の外野で1人、別メニューで“特別トレーニング”を行う巨人大城(左)と石森2軍トレーニングコーチ(2022年6月11日撮影)
ジャイアンツ球場の外野で1人、別メニューで“特別トレーニング”を行う巨人大城(左)と石森2軍トレーニングコーチ(2022年6月11日撮影)