日本ハム杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で「人生の前進会見」を開き、今季限りでの現役引退を表明した。

球団、競技の枠を超えて多くのファンから愛された唯一無二のキャラクターは、敵地でも大きな注目を浴びた。その代表例が、ベルーナドームでの西武戦の試合前練習での「杉谷いじり」。杉谷が打撃練習を行っている時に行われていた、西武の球団職員である鈴木あずささんのウイットに富んだアナウンスが、名物となった。

今季は9月10日の西武戦でシーズン初いじりが行われた。

「スタンドの皆様、ご注目ください。露出を抑えて数カ月、まだまだ大きい声では申し上げにくいのですが、西武池袋線の申し子(自称)が満を持してのご降臨。ただいま、ポジティブオーラ全開でバッティング練習を行うファイターズのこの選手、杉谷拳士選手です。皆様、打球の行方には十分ご注意ください。杉谷選手、バッティング時間あと5分です」

敵地ながら、球場に詰めかけた日本ハムファンのみならず、西武ファンも盛り上がった。

この「杉谷いじり」の起点は14年10月だった。20年以降はコロナ禍もあり、頻度は減っていたが、9年目の今季もアナウンスをする鈴木さんの“いじり”の切れ味は抜群。杉谷も打撃練習を終えると、アナウンス室にいる鈴木さんに一礼。超異例の他球団との“コラボ芸”が、ほのぼのと成立してしまうのも、杉谷のプロフェッショナルな“愛され力”が一流だった証しだろう。

現役最後の「杉谷いじり」は、ベルーナドームで行われた10月2日の今季最終戦だった。

「みなさま、ご注目ください。ただいま、今シーズン最後の、杉谷選手がバッティング練習を行っております。見たい! と、こちらが注目すると、少々軽めのプレミア感。この先も、みんなの見たい! を、かなえるプロ野球選手、杉谷選手の生き様に引き続き、みなさまどうぞご注目ください」

鈴木さんのアナウンスのように、プロ野球選手を引退し、今後の人生を前進させる杉谷の生き様にも注目したい。【日本ハム担当=木下大輔】

西武対日本ハム 試合前の打撃練習で恒例となったいじりアナウンスをしてくれた場内アナウンス担当の鈴木あずささん(右)にあいさつする日本ハム杉谷(16年7月27日撮影)
西武対日本ハム 試合前の打撃練習で恒例となったいじりアナウンスをしてくれた場内アナウンス担当の鈴木あずささん(右)にあいさつする日本ハム杉谷(16年7月27日撮影)
引退会見で涙する杉谷(撮影・佐藤翔太)
引退会見で涙する杉谷(撮影・佐藤翔太)