テンション高めに打撃練習の外野守備に就く西武山川穂高内野手(31)のもとに、宮古島での自主トレから帰京した高橋光成投手(25)渡辺勇太朗投手(22)があいさつに向かった。

いくつもの笑みがはじける。山川が2人に、同い年の陽川尚将内野手(31)を紹介した。このオフ、現役ドラフトで阪神から移籍。「よろしくお願いします!」。所沢の球団施設に、また笑顔が広がった。

年明けはあいさつの季節だ。グラウンドのあちこちで笑顔が交わされる。1月に埼玉西武ライオンズの取材担当に着任した私も、まずは選手やスタッフ1人1人へのあいさつが仕事だ。何せ、見知らぬ顔が自分たちの職場に突然現れるのだから。

はじめまして-。連日、練習の合間に「ここだ!」とタイミングを計って名刺を渡す。2人だけ、あいさつを先制された。背の大きな羽田慎之介投手(19)に近寄ると、羽田の方から「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と大きな声が。実は初めましてです…なんてやぼなことは心の奥底にしまい、あいさつを返す。羽田は元気に駆けながら、キャッチボールへ向かった。年半分の若者のすがすがしさに、寒さも忘れる。寒いけど。

長谷川信哉外野手(20)にも「今年もよろしくお願いします」と先制された。時間がありそうだったので、少し尋ねた。

「自分、今年喪中なんですよ。なので、あけまして~は言えないんですけど。1年の最初なので。ここにいらっしゃるということは、関係者の方ですし、お世話になると思うので」

京都の東山区で育った。「お母さんが舞妓(まいこ)をやってたんで。小さい頃からそういうのは厳しく教えられてますね。近所でも自分の知ってる人には自分からあいさつしなさい、って。いつ助けられるか分からんから、って」

ビジネスマンと違って、プロ野球選手に名刺を渡すタイミングって難しい。2月6日のキャンプインを迎えるまでに全員に1対1であいさつをしたかったが、2月3日時点で選手、首脳陣合わせてまだ77%にしか名刺を渡せていないし、チームスタッフを入れればシーズンいっぱいかかりそうでもある。何とか完了させたい。

名刺を渡すのが全てではないけれど、あいさつしなければ何も始まらない。相手を見るように、相手からも見られている。1月下旬になってようやく取材できた某選手に言われた。「筒香さんに似てますよね! 前から思ってました!」。彼が発した「前から」にピリッと刺激される。チームスローガンは「走魂」。取材側も攻めていきたい。【西武担当 金子真仁】