巨人高橋優貴投手(26)は投げられる喜びをかみしめ、復活の歩みを進んでいる。

「去年はどうやったら、痛みがなく、ちゃんと投げられるだろうっていうことしか追い求めてなかった。やっと技術に100%を向けていけるかな」

18年のドラフト1位左腕。21年はチームトップで自己最多の11勝(9敗)を挙げた。しかし、昨季は肘の痛みに苦しみ、9月に左肘関節鏡視下クリーニング手術を受けた。オフには育成契約を結び、背番号は「012」に。地道なリハビリの日々を過ごした。

11日に日本ウェルネススポーツ大とのプロアマ交流戦で実戦復帰を果たした。2回を内野安打1本の無失点で、最速は145キロをマーク。制球は少しばらついたが、肘の痛みなく腕を振れる。それが何よりうれしかった。登板前は無事に投げ終わるだけでよかったはずが、投げ終わると、結果への欲が自然と湧き出てきた。勝負の世界に戻ってきた。

WBCでは懐かしい名前に刺激を受けた。9日の1次ラウンド初戦の中国戦。日本が本塁打を浴びたことを知ると、スマートフォンを調べた。梁培(24)。知っている名前。東海大菅生の2学年下の後輩だった。

「すごいですよね。代表して、ああいう舞台に立てるって。関わりある人が頑張っていると、自分もという気持ちにもなる。そういう人たちに負けないように」。国は違えど、代表として戦っている姿に、向上心はくすぐられた。

手術とリハビリを経て、肘の痛みにおびえる日々はない。純粋に技術と向き合える幸せを感じながら、野心に燃える。

「まだまだ差は大きいですけど、1軍の選手に、侍の選手に、何とか追いつけるように、やっていきたいと思います」。

まずは背番号を2ケタに。1軍の戦力として返り咲く。思うように投げられなかった鬱憤(うっぷん)を糧に、逆襲のストーリーを描いていく。【巨人担当=上田悠太】