中日の試合前練習で、ショートのポジションでレガーズをつけた選手がノックを受けている。ドラフト4位山浅龍之介捕手(19=聖光学院)だ。もちろん左手にはめるのはキャッチャーミット。転向ではない。「ゴロ捕球が下手なんです。小学生レベルって言われます」。荒木内野守備走塁コーチが打つ、緩いゴロを正面で捉え、一塁へ送球する練習を続けている。

指導する西山バッテリーコーチは「本当にゴロを捕るのが苦手。下半身強化の意味もあるんです」と、理由を説明してくれた。かつて竜の主砲、落合博満が現役時代に「下半身強化には内野ノックが一番いい」と実践していた練習法だ。

山浅は5月2日の阪神戦(甲子園)で初の1軍昇格を決めたばかり。その日から遊撃での「ゴロ捕」は始まった。「スローイングやキャッチングにもつながります」。

2軍では19試合に出場。12試合で先発マスクをかぶり経験を積んできた。1軍では正捕手・木下、加藤匠につぐ3番手。7日の試合前練習では、ブロッキング練習の合間に、サインの出し方、ミットの構え方の再チェックも受けた。「どう自分のサインの意思を投手に伝えるかなどを教えてもらいました」。1軍初出場への準備を続ける。

試合中のベンチでは荒木コーチの横に座り、守備での状況把握などの引き出しを増やしているという。「準備はできています」。高卒1年目で、1軍マスクをかぶる日に向けて目を輝かせていた。【中日担当 伊東大介】

試合前、遊撃手の守備位置でノックを受ける山浅龍之介(2023年5月6日撮影)
試合前、遊撃手の守備位置でノックを受ける山浅龍之介(2023年5月6日撮影)