<オープン戦:ソフトバンク2-1西武>◇16日◇ペイペイドーム

豪打でもなく、四球を足掛かりに1点をもぎ取っての辛勝。ソフトバンクがシーズンでもこんな戦いができれば、楽しみではある。起点は1番周東だった。1-1で迎えた8回。先頭周東が四球を選び、すかさず二盗を決めた。2番ウォーカーの中直でタッチアップから三塁へ。1死三塁となって途中出場の3番川村の一ゴロの間に周東が勝ち越しのホームを駆け抜けた。

「西武もやっぱり先発投手は12球団トップクラスでしょう。中継ぎ陣も相当いいと思うんで。そんなに打てないと思うんですよ。最後は(周東の)ギャンブルスタートで1点。ぼんぼん打てない中でああいうのは大事ですね」。試合後、小久保監督はノーヒットで挙げた決勝点に納得顔だった。

僅少差で迎えるゲーム終盤の攻防は、シーズンになればもっともっと複雑になる。投手起用もまったく違ってくるし、攻守にわたる1球1球のプレッシャーはズシリと重い。それでも「練習」でできないものは「本番」の成功確率はグッと下がる。実戦練習の意味合いを強化するためには三塁走者の周東に代走を送って仲田や緒方で試してみることも、面白かったかもしれない。

「楽しみな勝ち方」ではあったが、同時に不安要素をはらんでもいた。西武とのこの2戦で打線は計25三振。ベストメンバーで挑んだわけではないから、オープン戦の数字と割り切ることもできるが、今井、隅田の先発2人には計18三振。小久保監督が「トップクラス」と評する西武の先発投手陣の攻略には大きな課題を突きつけられたようにも感じた。ホークスはブルペン陣が安定しているだけに、今季も目指す戦法は「先行逃げ切り型」だろう。山川、ウォーカーの加入で打線に厚みが増したとはいえ、しぶとい攻撃で1点を取る野球はおろそかにできない。気を引き締めるにはいい試合になった。【佐竹英治】