ずらりと10レーンが並ぶブルペン。乾いたミット音が次々に響く心地よさ。オリックスの春季キャンプで、投手陣の層の厚さを改めて感じた。
入社2年目が終盤に差し掛かった2月、阪神担当からオリックス担当に“移籍”した。1年前は阪神キャンプを取材。阪神は1軍が沖縄・宜野座、2軍が具志川と、キャンプ地が約30キロ離れている。一方のオリックスはA組、B組が宮崎市清武に集結。主にA軍がSOKKENスタジアム、B組が第2野球場で練習するが、ブルペンは1カ所だ。平野、宮城、山崎、古田島、小野…。豪華メンバーが1列に並び、力強く球を投じる光景は圧巻だ。
1軍と2軍が同じブルペンを使用するメリットは、大きい。ドラフト2位ルーキーの寺西成騎投手(22=日体大)はB組スタート。「最初に(ブルペンに)入ったときに隣に古田島さんと鈴木博志さんがいて、『うぉ!』となりました。軽く投げているようで、すごく強い、プロの球を感じました」。レベルの高さを痛感しただけではない。カウントやコースを細かく指定し、意図を持って投げ込む姿。「バッターを立たせたり、いろんなシチュエーションを意識してやっているなと感じました」。なかなか直接、先輩に質問できていないというが、肌で感じて学ぶことは多い。「一緒の環境で練習できるというのは今まで想像もつかなかったので充実したキャンプです」とにっこりだ。
投手だけではない。高卒2年目の堀柊那捕手(19)は、第4クール初日の15日、広島からFAで加入した九里亜蓮投手(33)にサインを出しながら球を受けた。サインは「何を出していいか…」と困惑も、前回サインなしで受けた際に「バッティングカウントで変化球を結構投げていた」と意識した。九里のほかにも11歳上の小野泰己投手(30)と組むことも。1軍では「速い投手が多い。ワンバウンドであったりキャッチングも速い球に慣れるという経験になっています」。経験豊富な投手と組むことで、自らの課題や目標が明確になっている。
ブルペンでは連日、岸田護監督(43)をはじめ、1軍首脳陣が熱視線を送る。これも投手王国の強み。水本勝巳1軍ヘッドコーチ(56)は「他球団で(1、2軍キャンプ地が)分かれていても、情報は共有していると思います。でもここは直接見られる。そこは大きいと思います」と話す。新人の寺西も「(見てもらえることは)うれしい。焦らないようにしていますが、目に留まるような球が投げられれば」とモチベーションを上げる。17年に育成ドラフト2位で入団した東晃平投手(25)が、22年の1軍デビューから8連勝した例もある。「キャンプの良い影響もあると思う」と水本コーチ。ベテランも若手も切磋琢磨(せっさたくま)して技を磨く。強固な投手力の礎を感じた。【オリックス担当=村松万里子】




