<読売巨人軍営業企画部 坂東秀憲氏>
こんな数式、見たことない。「巨人×東大=電脳王」。東大医学部卒、読売巨人軍営業企画部に所属する坂東秀憲氏(25)が「eBASEBALLプロリーグ」の「eドラフト会議」での指名を狙う。第2回は上達法と哲学。
坂東の学ぶは「まねぶ」から始まる。「練習時間が限られている。短い時間で効率よく学べるか」と力を込めた。その最適解が「まずうまい人のマネをする」だった。動画配信をしているプロゲーマーの映像を徹底的に見て、配球をまねた。「最初は分からないんですけど、手を動かすと理由が見えてくる。なるほど、と」。模倣による追体験で、トップ選手の思考を効率よく吸収できた。
1つの例は変化球のカーブ。「あれは弱い球種です」と言い切る。球速が遅いため打ちやすく、球質も軽く長打を浴びやすい。「みんな、あまり使わないんですよ」と傾向をつかんだ。現実世界との共通項も見つけた。「プロもゲームもボール球の見極めが大切。甘い球は打たれるし、打てる。逆にストライクゾーンに入っていなかったら、打っても凡打になる可能性が高い。難しい球をいかに打たせるか」とスコアラーのように分析を深めた。
では、どんな配球が有効なのか。「今は明かせないので、勘弁してください。時が来たらお話しします」と苦笑い。晴れてプロ指名を受けた後に、一端を明かすことを約束してくれた。
勝利の方程式を見つけていくと、結果がついてきた。7月27日に行われた「いばらきのど真ん中eスポーツ選手権」で優勝。パワプロに打ち込んでから約8カ月、プロ選手を破っての快挙だった。「1つ1つの失敗を振り返って、積み上げたからうまくなった」と控えめに言う。「これは僕の経験談」と前置きすると、これまでを振り返った。
「小さいころはプロ野球選手になりたかった。でも中学から体調を崩し、高校で1度は野球から離れた。それでも大好きで。大学で野球をやりたいと思った時に、東大の選択肢が浮かんだ。当時は斎藤佑樹さんフィーバーで、東京6大学野球は甲子園のスターだらけ。東大に入れば、レベルの高い環境で同じ舞台に立てると思ったんです」
東大は文系で募集人数の最も多い文科3類を選択。猛勉強で赤門の扉をこじ開けたが、挫折が待っていた。「肝心の野球が下手だったんです(笑い)」。ケガがちで満足に練習ができず、同期の背中は遠く先に進んでいた。1年秋、夢見たユニホームをあきらめ、専任のマネジャーになった。
だからこそ、目標の重要性を説く。「どこがゴールなのか。僕がeスポーツをやるのも、プロ野球の盛り上げに少しでも貢献できるか。振り返ると、つながるんです。最高峰の野球をしたいから東大に入りたいと思ったし、入るためには一番可能性のある文3だと。マネジャーになったのも、チームの勝利に、自分がどう関われるか考えた結果」と逆算の思考があった。坂東が主務になった年の15年春、東大は10年秋から続いた連敗を94で止めた。
飾らず、ぶれない心で結果を生む。「才能がないことを受け入れることが、紛れもない僕の才能と思っています。だから、くじけた後に立ち上がるのが早い。選手としてグラウンドに立てなかったからこそ、プロeスポーツ選手になりたいのかもしれません」と笑った。「巨人×東大」の方程式は「野球界の発展」を解に求め、突き進む。eドラフト前、運命の2次選考は31日。(本文敬称略=この項おわり)【島根純】





