二刀流での驚異的なパフォーマンスが続き、米メディアは大々的に称賛した。まずは5月14日。創刊170年の歴史を誇るニューヨーク・タイムズ紙がスポーツ面で大谷の特集を組んだ。元祖二刀流ベーブ・ルースの写真を添え、「オオタニはなんでもできる」という見出しで紹介。投打に加え、5月11日のアストロズ戦で登板後に右翼を守ったことを取り上げた。日本ハムにドラフト1位指名された経緯や、メジャーでの過去3年も回顧。超人ぶりを伝える大特集だった。

7月10日には米スポーツ界のアカデミー賞とも言われる「ESPYアワード」の「ベストMLB選手」に選ばれた。通常は前年の実績から選ばれるが、開幕から続いた大谷の投打の活躍が高く評価され、異例の抜てきとなった。過去にはバリー・ボンズ(ジャイアンツ)やデレク・ジーター(ヤンキース)ら名だたるスター選手が受賞。日本人では初の栄誉だった。

さらに9月中旬。米大手スポーツ雑誌のスポーツ・イラストレーテッドで全国版の表紙を飾った。投打の2パターンで作成され、記事を担当したトム・バードゥッチ氏は「非常に珍しい。過去にこういうこと(2種類の表紙)があったか分からないが、記憶にない」と明かした。前例が見当たらないほどの特別な扱い。「私たちは、一生に1度の功績を目にしている。彼がやってきたことというのは尋常ではない。今シーズンを記念する必要がある」と熱く語った。

記事では日本のことわざ「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」も引用された。野球の世界でも、アメリカ流の制限や偏見がある。同氏は94年に日本シリーズの取材で来日し、日本文化も学んだ。ことわざを用い「大谷が(野球の)世界を変えている」と強調。野球への影響力について「最も素晴らしい国際アンバサダー。彼以上に影響力の大きな選手はいない」と、世界中に広がっていることも主張した。

米メディアから称賛され、今までにないほどの最高の評価を受けた。6、7月は2カ月連続で月間MVPを受賞し、球団史上初の快挙も達成。続々と与えられた栄誉に値する、投打でのパフォーマンスだった。【斎藤庸裕】(つづく)