田村藤夫氏(62)が立浪新監督の下、新体制でスタートした中日の秋季キャンプ(ナゴヤ球場)を取材した。高卒ルーキー高橋宏斗投手(19=中京大中京)の球筋にプロ1年目で過ごした9カ月間の成長を見た。

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9月18日、ウエスタン・リーグ阪神戦に登板した中日高橋宏
9月18日、ウエスタン・リーグ阪神戦に登板した中日高橋宏

2月に沖縄・読谷2軍キャンプのブルペンで見た時と、球筋は変わっていた。ボールの軌道、回転の利いた伸び、打者の手元でも大きく失速しない。それらをもたらしたのは、腕の位置にある。春のキャンプではスリークオーター気味に下がっていたが、ナゴヤ球場ではオーバースローよりもやや角度がついたくらいだった。

私の性格上、何度か見ないと自信をもって断言できないのだが、この比較をもってすれば、腕の位置が上がったことで、左肩の開きが修正され、それに伴いシュート回転しづらいフォームが固まってきたと感じる。もっと近くで、複数回見ないとより詳しく言えないが、リリースポイント、指のかかり具合で、より改善していくと感じる。

私にはひとつ楽しみにしていることがある。高橋宏の素材としての魅力は非常に高い。それこそ奥川に迫るものを感じる。佐々木朗はスピードという点で他の投手とは明らかにポテンシャルが違うため、高橋宏との比較にはならない。奥川がプロ2年目の今季に大きく飛躍した姿を見ると、私は高橋宏にも同じような軌跡を期待してもいいのではないかと思えてくる。

秋季キャンプでは守備の動きも見た。ピッチャーゴロからのセカンドスロー、バント処理からのサードスロー、いずれも体の動かし方がスムーズで運動能力の高さがよくわかる。20年春のヤクルト西都2軍キャンプでも奥川の守備では流れるような体の動きにセンスを感じた。一見すると、守備の動きとピッチングにはそれほどの相関関係はないように見えるかもしれないが、総合力がある投手は強い。

今後、私がチェックしたいのは1点だ。変化球の精度を見たい。それもストレートと同じ腕の振りで、しっかりカウントが取れるか。奥川はスライダー、フォークの精度がある。高橋宏にも試合の中で確実にカウントが取れるスライダーなどがあれば、ブレークする可能性は十分に秘めている。

秋季キャンプが終わり、オフの過ごし方で2年目成績は大きく違ってくるだろう。今年1年、酷使したわけではないのだから、ある程度肩をならしておくことだ。そして、しっかり下半身を動かしておけば、2月キャンプ初日から素晴らしいボールを投げることができるはずだ。

中日投手陣の層は厚い。そこに割って入るためには、19歳のオフは非常に重要になる。奥川のように素材を開花する準備は整いつつある。あとは、体の手入れをしっかりして、持てる能力を、失敗を恐れずに披露するだけだ。(日刊スポーツ評論家)

(つづく)