個人的には「メジャーリーガーが何人出場できるか」に注目しています。自分がメンバー入りした13年WBCは全員が国内組。内野手はメジャー経験が豊富な松井稼頭央さん(当時楽天)からアドバイスをもらえましたが、他のポジションの選手は特に米国開催の準決勝では神経をすり減らしたと思います。どれだけ優秀なスコアラーがそろっていても、集めてくれたデータ、情報と選手が感じる印象とでは、多少のズレがあったりもしますからね。

たとえば準決勝プエルトリコ戦の舞台となったAT&Tパーク(現オラクルパーク)であれば、どういう風が吹くのか、芝生を転がる打球のスピードはどんな感じなのか。1番打者はどれぐらい足が速いのか。そういった情報を事前にインプットできているだけでも、一瞬一瞬のプレーに違いが出てきます。メジャーリーガーの貢献度には実力以上のモノがあるので、出場を明言した大谷選手だけでなく、ダルビッシュ投手や鈴木誠也選手にもぜひとも出場してほしいですね。

鳥谷氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン
鳥谷氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン

ちなみに大谷選手に関しては、どういった起用法が現実的なのでしょうか。WBCはシーズン開幕前の3月開催。時期を鑑みれば、投手でのフル回転は酷な気がします。ということで、大谷選手はよほどの緊急事態に陥らない限りは登板しない、DH限定の出場だとイメージして、メンバーを考えさせてもらいました。

先発投手は右左に関係なく純粋に能力が高いメンバーを並べました。左腕は少し悩みましたが、オリックス宮城投手は今月の強化試合でWBC球に少し苦戦していた印象。ヤクルト高橋奎投手の勢いにも魅力はありますが、安定感と経験値で今永投手に分があると判断しました。戸郷投手は強化試合でフォークの落ち具合が抜群だったことが決め手。大崩れするリスクが少なく、ボールとの相性も良い投手を優先した形です。

リリーフ陣はいざとなれば先発組のダルビッシュ投手や山本投手、千賀投手をブルペンに回すことも可能なので、少なめの人数にしています。国際大会ではなかなかワンポイント起用はしづらいものですが、どうしても左の強打者を抑えたい場面に備えて、変則左腕の高梨投手を選んでも面白いかなと考えます。

【イラスト】鳥谷氏が選ぶWBC日本代表
【イラスト】鳥谷氏が選ぶWBC日本代表

野手では一塁に山川選手を推します。実は守備面での貢献度も高いですし、好投手だらけでなかなか得点が難しい国際大会で、1発の飛び道具は魅力的です。もちろん牧選手も一塁、二塁のどちらでもスタメンを張れる選手なので、28人からは外せません。捕手に関しては一塁、三塁、DH、代打とマルチに起用できる坂倉選手を第3捕手で入れておきたいですね。

遊撃スタメンには坂本選手を選びました。源田選手の守備力、機動力も捨てがたいですが、想像を絶する重圧の中で戦う侍ジャパンには、やはり精神的支柱が欠かせません。13、17年WBC、21年東京五輪で主力を務めている経験値は、何物にも代えがたいもの。もし体調に問題がなければ、今回も先頭に立って日本を引っ張ってほしいものです。(日刊スポーツ評論家)