「韓国プロ野球の伝え手」室井昌也氏が、WBC韓国代表を語った。第2回は投手編。【古川真弥】

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野手と比べると、投手は突出した選手がいない印象です。球数制限もあるので、打者一巡したら代えていくこともあるのではないでしょうか。逆に言えば、この投手で負けたからダメだというダメージも受けないと思います。

突出した投手はいませんが、リーダー格は日本でもおなじみの金広鉉(キム・グァンヒョン)と、梁玹種(ヤン・ヒョンジョン)です。ともにメジャーに行っていたため、東京オリンピック(五輪)には出ませんでした。今回は背中で見せられる2人がいる。先発の柱というより、大事な場面で使うと李強喆(イ・ガンチョル)監督は話しています。それができる2人でもあります。

先発を挙げれば、まず具昌模(ク・チャンモ)。183センチの長身左腕で、140キロ台後半の直球とコーナーに投げ分けるスライダーがあります。圧倒する感じではありませんが、まとまっています。若い頃の金広鉉みたいな感じです。

次に高永表(コ・ヨンピョ)。東京五輪の日本戦で先発し、5回6安打2失点でした。右のアンダースローで大崩れしません。韓国では昔から中南米のチームには横手投げ、下手投げが有効と言われています。中南米と当たる上のラウンドに行ってから投げる可能性もありますね。

左腕の李義理(イ・ウィリ)は20歳と若い、左の先発です。東京五輪で2度先発。敗者復活3回戦の米国戦では5回2失点でした。彼も185センチの長身左腕で、140キロ台後半の直球とスライダーがあります。

4人目は、朴世雄(パク・セウン)と郭斌(クァク・ピン)の状態がいい方を使うのではないでしょうか。朴は、東京五輪やアジアプロ野球チャンピオンシップでも代表に入っています。郭は日本で言えば、ヤクルト村上選手と同世代。高校代表には入っていましたが、トップチームでは初代表です。2人は投げてみて良ければ続投、ダメならすぐ代えるという起用になるでしょうね。

抑えは昨季セーブ王の高祐錫(コ・ウソク)です。最速158キロで、阪神にいた呉昇桓のような体格です。東京五輪の準決勝日本戦ではベースカバーのミスと四球から失点しました。昨季、大きく成長し、変化球でもストライクが取れるようになりました。四球や暴投の心配がなくなりました。余談ですが、1月に結婚した相手が、代表でチームメートの李政厚(イ・ジョンフ)外野手の妹さん。政厚の父親は、元中日の李鍾範さんです。

セットアッパーは昨季ホールド王の鄭又栄(チョン・ウヨン)です。190センチ超の長身横手投げ右腕で、リーチが長い。球速は150キロ台後半で9割以上がツーシームの荒れ球。どこに行くか分からない感じがして怖いです。日本には、やっかいな相手ではないでしょうか。イメージは元ヤクルトの林昌勇です。

8回、9回で、林昌勇、呉昇桓が続けてくる感じです。鄭は東京五輪の代表からは外れましたが、いたら違う結果になったかも知れませんね。(つづく)

◆室井昌也(むろい・まさや)1972年(昭47)10月3日、東京・豊島区生まれ。日大芸術学部演劇学科中退後、劇団活動、テレビのリポーターなどを経て02年韓国に留学。韓国プロ野球の取材を開始する。04年から著書「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」を毎年発行。ストライク・ゾーン代表。

19年11月、プレミア12決勝の日本戦で先発する韓国の梁■種 ※■は王ヘンに玄
19年11月、プレミア12決勝の日本戦で先発する韓国の梁■種 ※■は王ヘンに玄
WBC韓国代表投手
WBC韓国代表投手