WBCに挑む侍ジャパンのメンバー30人が決定した。連載「侍の宝刀」で、30人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる。

22年11月、オーストラリア戦で左前打を放つ岡本和
22年11月、オーストラリア戦で左前打を放つ岡本和

丸太のようなぶっとい下半身でホームランをかっ飛ばす。巨人岡本和真内野手(26)が、初の国際大会となるWBCに挑む。武器は何といっても強靱(きょうじん)な下半身から生み出されるパワー。ルーキーイヤーから70センチに迫った太ももと、100センチを超える臀部(でんぶ)はともに球界屈指の太さを誇る。「(侍ジャパンの)ユニホームを着てWBCでプレーするのはずっと目標でもあった」と話す大舞台で、外国人選手にも負けないパワーを見せつける。

圧倒的なパワーと対照的に柔らかい守備も武器になる。三塁手部門では2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した。三塁のレギュラーは3冠王のヤクルト村上がいる影響で出番は限られるが、11月の強化試合の侍ジャパンシリーズでも守った一塁や、17年から19年まで計53試合で出場した左翼の経験もある。「どこでもいけます。そこはちょっと自分の強みでもあるかなと思う」とケガなどによる緊急出場にも対応できる。

独特なユーモアセンスも光る。関西生まれで脱力系の面白さを備える。初のヒーローインタビューでは「奈良から来たジョニー・デップです!」とボケをかました。昨年11月のファンフェスタでは主将就任の発表。注目される第一声は原監督が直前に言った「何度も失礼します」をかぶせた「何度も失礼致します」。真顔のボケで東京ドームを笑いに包んだ。緊張感のある国際舞台でも、愛されキャラとして場を和ませ、明るい雰囲気を作ることが出来る。

巨人の4番として若くから重責を背負ってきた。22歳シーズンだった18年途中から4番に定着。昨季は8月から4番を外れた時期もあったが、終わってみれば30本塁打の大台に乗せた。生え抜きでは王貞治、松井秀喜に次ぐ3人目となる5年連続30本塁打を達成。球界屈指の右打者として堂々たる数字を残した。今季からは坂本から主将を引き継ぐ。名実ともにチームの顔となった。

岡本の22年11月強化試合成績
岡本の22年11月強化試合成績

地の利もある。侍ジャパンキャンプが行われるひなたサンマリンスタジアム宮崎も巨人のキャンプ地で、予選から準々決勝までが開催される東京ドームも巨人の本拠地。慣れ親しんだ景色、グラウンドで伸び伸びとプレーできる。21年には19本塁打を放って東京ドームMVPにも輝き「低いベースも好きですし、打席の見え方だったり、土の具合だったり、やりやすくしていただいている」と安心感を持って試合に臨む。巨人の主将が幅広い役割で世界へ挑む。【小早川宗一郎】