<センバツ高校野球:報徳学園7-2高崎健康福祉大高崎>◇24日◇2回戦

高崎健康福祉大高崎の走塁技術は、先輩から後輩へ脈々と受け継がれている。初回2死二塁、箱山が左前打を放った。左翼手は浅い守備位置だったが、二塁走者の俊足、増渕は走りをゆるめずに生還。1点を先制した。

15年8月、選手権の藤井学園寒川戦で三塁盗塁に挑む高崎健康福祉大高崎・小谷
15年8月、選手権の藤井学園寒川戦で三塁盗塁に挑む高崎健康福祉大高崎・小谷

健大高崎といえば、足を使った“機動破壊”。そのイメージを全国にとどろかせたのが、初出場した12年の第84回センバツだった。初戦の相手は天理(奈良)。青柳博文監督(50)は「まだ知名度も低くて、校名もそんなに知られていなかった時。それで、初戦でいきなり伝統校の天理と対戦。試合前は誰も、健大高崎が勝つとは思っていなかったはずです」と振り返る。

接戦に持ち込んだ。2-2で迎えた7回無死一塁、左中間に落ちる打球で一塁走者が一気に生還して勝ち越し。相手の守備がゆるんだ隙を突いた走塁だった。7盗塁を決めるなど、効果的に得点を奪い9-3で勝利。指揮官は「足を使って崩して、盗塁も決める。プラン通りに進んだ試合だった。天理さんと力の差はあったけれど、勝ち切れた。“機動破壊”という言葉を掲げていく方向性が確かになった試合だった」。勢いに乗って4強入りした。

このセンバツを見て、大阪から同校への入学を決めた中学生がいた。小谷魁星コーチ(25)だ。内野手として、高3の15年に春夏連続で甲子園に出場。「走塁を知って、野球のおもしろさをあらためて知りました」と中大を経て、20年から母校に戻ってコーチに就任した。走塁を担当し、技術を選手たちに伝えている。ベースの踏み方、体の向き、状況判断など、細かく指導する。「1秒以下のタイムを削り出す。1つの走塁で、人生が変わるかもしれないと思って指導しています」。伝統をつなぎながら、夏に向けてさらに磨きをかける。【保坂恭子】