元横浜高校監督の渡辺元智氏(75)が12日、東京・代々木で行われた野球指導者講習会にパネリストとして参加した。15年夏を最後に監督を勇退したが、変わらぬ情熱で小、中、高の指導者を前に熱く語った。

まずはこの講習会のテーマの一つでもある「投球数制限」について話した。渡辺氏は「1週間で500球以内」という答申を出した有識者会議のメンバーでもある。

「答申は尊重したい。(試行期間の)3年間は見守っていきたい。ただダメなら見直す必要がある。高校生というのはすでに半分、大人の世界に入ろうとしている。学童ではない。自分の意思で限界にトライする。(故障の)リスクは生じるが自分の未来は自分で切り開くべきではないのか」

高校野球で燃え尽きてもいい。球数にとらわれず限界に挑戦したい選手もいるだろう。その一方で将来有望な選手が故障で消えていく現実もある。

「一番大事なのは選手との信頼関係。指導者は選手本人が目指すところに導いてあげないと」

さらに「言葉が選手を動かす。そういう時代。選手とコミュニケーションを取って信頼関係を築き上げてほしい」と指導者に求めた。

最後の質問コーナーで受講者からこんな質問が飛んだ。

-どうしても相性の悪い選手がいる。どうすればいいか?

渡辺氏が金言を授けた。

「指導者は役者になった方がいい。自分の方から『悪かったな』と言える指導者になってほしい」

【デジタル編集部 福田豊】