9月27日現在、両リーグで2桁勝利を挙げている投手が16人いる。そのうち、薮田(広島)15勝3敗、菅野(巨人)17勝5敗、東浜(ソフトバンク)16勝5敗、田口(巨人)13勝3敗と、4人が2桁の貯金をマーク。薮田で貯金12の広島、東浜で貯金11のソフトバンクはすでに優勝を決めたが、菅野と田口の2人がいる巨人は4位で苦しんでいる。

 1チームに2桁貯金の投手が2人以上は11年ソフトバンクが最後。ホールトンが19勝6敗、和田が16勝5敗のソフトバンクは、2人でつくった貯金24を生かして2位日本ハムに17・5ゲームの大差をつけて優勝した。巨人で2人は96年に斎藤雅が16勝4敗、ガルベスが16勝6敗を記録して以来になるが、この年の巨人も優勝だった。

 20勝投手が何人も誕生した50、60年代は2桁貯金の投手も今より多く、チームに2桁貯金が2人以上のケースは11年ソフトバンクまで54度(2人が46度、3人が8度)ある。この54チームの順位を調べると、優勝が34度で最も多く、次いで2位が13度、3位が6度、4位が1度。さすがに、2桁貯金の投手が2人以上のチームは6割以上の確率で優勝している。

 唯一4位に終わったのは、田中が26勝15敗、沢藤が14勝2敗の54年近鉄。ただし、54年のパ・リーグは8チーム制で、74勝63敗3分け、勝率5割4分で4位だった近鉄も「Aクラス」。2桁貯金の投手が2人以上で「Bクラス」のチームは過去にない。このまま菅野と田口が2桁貯金をし、巨人が「Bクラス」になればプロ野球史上初の珍事になってしまう。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「記録室から」)