ブルペンで投げる藤浪晋太郎の動画を撮影する福原忍コーチ(撮影・奥田泰也)
ブルペンで投げる藤浪晋太郎の動画を撮影する福原忍コーチ(撮影・奥田泰也)

24日中日戦(北谷)の後も書いたが藤浪晋太郎の話だ。25日午後から宜野座で異例ともいえる光景が繰り広げられた。虎番記者の記事にもあるように藤浪が室内練習場で約1時間みっちり、そこからブルペンに移動して同じぐらいの時間を過ごしたのだ。

投手コーチの福原忍が言うように簡単に言ってしまえば「フォームの再確認とそれを固める作業」ということに落ち着く。しかしキャンプも最終盤、藤浪も紅白戦を含め3試合に投げた。そのタイミングでこれまで課題にしている制球難についての“特訓”が行われたことになる。

考えようによっては開幕へピンチともいえる。だが、この日の特訓にはそんなムードは漂っていなかった。最初は福原が藤浪をうながす形で室内での練習が始まった。その後は藤浪の意向でブルペンへ移動。投げ込みを始めた。

途中で藤浪が画像撮影を依頼した。福原がアイパッドを持ってきて撮影を始めた。何球目だったか納得のいく球が投げられたのか藤浪が「今のどうですか?」と聞いた。福原は「よかったな」と答える。すると藤浪は「いいね、押しといてください」と笑った。それから福原は「今の、いいね」「ああ。ノーいいね」「いいね!」と声を掛けながら投球を見守ったのだ。

「いいね特訓」である。知らない人もいると思うので一応、説明すると「いいねを押す」というのは、いわゆるSNSで投稿したつぶやきや写真を見た人が評価すること。このコラムもネット版に載ったときに、少ないながら、そんな評価をいただく。

もちろん藤浪の「いいね発言」は冗談で、要するに和やかなムードで練習が行われた、ということだ。藤浪の表情も明るかったし、最後にはお遊びながら小林繁ばりのサイドスローで投げていた。

突然、球が抜ける。それをおそれると投球自体がおかしくなる。そんな藤浪に前日この欄では久保康友(元阪神)が「制球以外に意識を集中させればいいのでは」というアイデアを教えてくれたと書いた。こちらも「もっと気楽に投げたらいいのに」と素人の気楽さで見ている。

だが、そんな見方に苦笑しながらこう話したのは福原と2人で指導した投手コーチ・金村暁だ。「精神面とか、そんな考えも分かるんですけど、本人は技術の問題と思っている。だから納得できるまでやるしかないんです」。

育成がうまい方ではないとされる阪神。それでも現場は少しでもいいムードをつくりながら藤浪の復活を待つ。首脳陣、練習につき合う裏方も頑張っているのだ。(敬称略)

ブルペンで藤浪(右)は福原コーチの指導を受ける(撮影・奥田泰也)
ブルペンで藤浪(右)は福原コーチの指導を受ける(撮影・奥田泰也)