3回裏中日2死一、三塁、リクエスト後の投球で藤浪は大島へ暴投(撮影・加藤哉)
3回裏中日2死一、三塁、リクエスト後の投球で藤浪は大島へ暴投(撮影・加藤哉)

藤浪、開幕絶望的-。阪神藤浪晋太郎投手(24)の2軍降格が12日、決まった。中日戦に先発登板。4回無安打1失点ながら、3四球1死球を与えるなど、またしても制球難を露呈した。

矢野燿大監督(50)は「いったん2軍で。時間がかかってもいい」と明言。開幕の先発要員として間に合わない状況も覚悟した。藤浪を見守った高原寿夫編集委員は、すべてを受け入れてからの再起を願った。

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オープン戦の先発投手は試合中に取材を受けることが多い。この日の藤浪も5回終了後、虎番記者に囲まれた。

藤浪 全然(ダメ)ですね。自分自身にガッカリです。思った通りの投球が全然できていなかった。立ち上がりのときから感触がよくなかった。昨日結果を出したいと言ってたんで。相反することになって。あまりにも内容が悪すぎるというか勝負できる状況ではなかった。

藤浪は、これまでは結果にかかわらず自身でよかったと思う点を振り返ることが多かったように思う。ある意味、野球エリートとしての強気さ、前向きさの表れだった。だがこの日は違った。意気消沈というか反省というか。肩を落としたような表情で質問に答える表情が印象的だった。

厳しい内容だった。右打者方向に球が抜けてしまうことが多い藤浪に対し、中日打線は9番まですべて左打者。それだけでも逆のプレッシャーかもしれないが立ち上がりは3者凡退に切った。2回も四球で走者を出したが併殺を取って3人で終わらせた。

3回裏中日1死二塁、亀沢に死球を与える藤浪(撮影・加藤哉)
3回裏中日1死二塁、亀沢に死球を与える藤浪(撮影・加藤哉)

しかし3回に変わる。先頭藤井に四球を出すと1死一塁から9番亀沢にはカットボールを引っ掛け、左足に当てる死球を与えた。味方の失策もあって1点を失った直後の2死一、二塁で3番大島へ投げた初球は外角高めに抜ける暴投。4回にも暴投を記録し、課題の制球難を露呈した。けん制悪送球もあった。

そんな姿に指揮官・矢野燿大は一つの決断を下した。2軍調整。矢野スタイルでマウンドを降りた藤浪としっかり話し合い、激励を込めながらファーム行きを通達した。

矢野 自分と戦っているかなと。相手と勝負できていない感じがあったんでね。1度、2軍に行かせようかなと。結果ばっかりにこだわって投げてしまっているから。そうじゃなく何かこう自分でこうやってやっていくんだというものをね。開幕に間に合わなかったとしても、その方が、晋太郎のためやし、チームのためだと思う。

開幕に間に合わないことも覚悟しての決断。はたして今季、戦力になれるのか。正直、状況は厳しい。それでもすべてを受け入れ、再生を誓った藤浪の顔は悪くなかった。

藤浪 もっといい感覚で投げられるように。しっかり形作っていくなり、しっかり練習するしかない。いいボールをより多く出していける練習を毎日毎日、一生懸命やっていきたいと思います。

結果がどうでもすべてを受け入れ、また、やり直すしかない。野球も人生も同じだろう。再び藤浪が1軍で輝く瞬間を辛抱強く待ちたい。(敬称略)

中日に勝利し藤浪(右)とハイタッチする矢野監督(撮影・加藤哉)
中日に勝利し藤浪(右)とハイタッチする矢野監督(撮影・加藤哉)