ソフトバンク野村大樹
ソフトバンク野村大樹

<みやざきフェニックス・リーグ:日本ハム7-0ソフトバンク>◇9日◇アイビースタジアム

日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)が、ソフトバンク-日本ハム戦で、ソフトバンクの18年ドラフト3位・野村大樹内野手(20=早実)の力強いスイングに可能性を見た。

8日の巨人戦では4打数ノーヒットで内容も良くなかったが、この試合では3打数1安打、しかもすべての打席でしっかりとボールを捉えるスイングをしていた。

第1打席はストレートを打って中飛。第2打席はスライダーをライナー性の右飛。そして第3打席は、追い込まれてからやや甘くなったストレートをセンター前に運んだ。いずれもいい感じでバットが振れていた。スタンドから見ている限りでは、自分のタイミングで振れていたのがいい。

プロの1軍では、結果がすべて。どんなにいい当たりでも、野手の正面に飛ぶ会心の打球よりも、打ち損ないのボテボテでもヒットの方が評価される。

しかし、2軍ではいかに自分のタイミングでスイングできるかが重視される。それを目指して実戦の中で鍛える。いいスイングというのは、例えばストレートを狙った中で、ピッチャーのボールに対してしっかりタイミングを合わせて振れることを言う。この日の野村のスイングは、3打席とも狙ったボールに対して、しっかりタイミングが合っており、内容が伴ったバッティングだった。

3打席目にヒットで出塁すると、一塁を守っていた清宮が野村に近づき、ほんの短く言葉を交わしたように見えた。ひと昔前のPL学園や、今の大阪桐蔭なら話は別だが、こうして高校の先輩後輩が、フェニックス・リーグとは言え、プロの試合で顔を合わせるというのはなかなかない。

2人が一瞬だけ触れ合った場面を見ると、お互いが切磋琢磨(せっさたくま)してこの厳しいプロの世界で何とか生き抜いてほしい、という気持ちになる。知名度で言えば清宮が同世代では群を抜いているが、野村の力強いスイングを見ているとここから大きく伸びる予感もする。これから先、2人の競争はどうなるのか。本当に楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)

早実時代の清宮幸太郎(左)と野村大樹
早実時代の清宮幸太郎(左)と野村大樹