<みやざきフェニックス・リーグ:広島7-6西武>◇14日◇天福

日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)が、広島のドラフト5位・石原貴規捕手(22=創志学園-天理大)のバッティングとスローイングの完成度を高く評価した。

広島の会沢に代わるレギュラー争いは熾烈(しれつ)を極めそうだ。現状では16年のドラフト4位で4年目・坂倉将吾(22=日大三)が1歩リードしているが、この試合で見た石原は、非常に可能性がある。さらに17年ドラフト1位・中村奨成(21=広陵)もいる。この年代にこれだけの素材が集まっているのだから、レギュラー争いは相当厳しい戦いになりそうだ。

この日の石原は、まずバッティングで大きくアピールしていた。広島1点リードで迎えた7回の先頭打者。カウント1-1から西武ドラフト2位・浜屋将太(21=樟南-三菱日立パワーシステムズ)の内角直球を左翼場外に運んだ。

さらに8回、同点の2死満塁で17年ドラフト5位・与座海人(25=沖縄尚学-岐阜経大)のカウント2-2からの外角直球を右中間へ走者一掃の二塁打を放った。3打数2安打4打点。

一見してスイングスピードが速く、自分のタイミングでスイングができている。ファウルした時もしっかりバットが振れているのが好印象だ。特に右中間を破った当たりは、2ストライクと追い込まれ、与座の外角にコントロールした直球を逆らわずに右へ運ぶところに勝負強さを感じた。

さらに捕手としてキャッチング、スローイング、肩の強さも備えている。盗塁1を許しているが、これはワンバンドになった投球で、ちょっとやむを得ない部分もあった。4回1死一塁の場面では、捕球してから二塁まで1秒95。余裕でアウトにしている。

捕球してからスローイングまでの動作は機敏で無駄のない動き。スローイングも正確。キャッチングでも、1球ごとにしっかり芯で受けている。低めのボールもしっかり捕れている。5位指名でこんな捕手がいるんだなと、選手名鑑を見て思わずうなってしまった。

捕手の右サイドのワンバウンドへの対応が悪い。体がボールに対して入り切れていないために、多少ボールに触ってはいるが、斜め後ろに転がる場面が3度あった。これは右サイドのワンバンド投球への体の使い方を反復練習すれば、どんどん改善していくだろう。

天福球場に各球団の編成が集まっていたが、石原の話題になった。やはり、いずれ1軍に食い込んでくる素材として注目しているのだろう。私の現状での認識では、会沢に次ぐ争いは打力がある坂倉が1歩リードというところか。そしてバッティングがいい分、2番手争いは中村よりも、この石原が評価を上げているのではないか。

21~22歳の若手の中にこれだけの素材が集まっている。お互いを意識しながら競い合うことで、それぞれの成長につながるわけだが、当人たちにしてみれば、まったく息が抜けない競争が続くことになる。

15日は巨人-中日(サンマリン)からリポートする予定だ。(日刊スポーツ評論家)