世間に浸透している「帝京魂」のイメージを、さらに上書きする。

正月番組「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」(テレビ朝日系)内の人気コーナー「リアル野球BAN」などで、帝京OBの石橋貴明(61)や元日本ハム杉谷拳士氏(31)が「帝京魂!」と叫び、言葉の知名度は上昇した。ただ金田優哉監督(37)は「あんなに良い番組はないしありがたいことだけど、今どきの子は帝京に対してそのイメージしかない。それだけじゃなくて、今の小学生や中学生に『縦縞が甲子園』というイメージもつけたい」と、伝統のユニホームで12年ぶりの聖地を目指している。

同監督は昨秋、50年間監督を務めた前田三夫氏(73)からバトンを受け取った。通算26度の甲子園出場で春1度、夏2度の優勝を誇る同校だが、2011年夏以来、聖地の土を踏めずにいる。

就任直後の冬にまず取り組んだのは、長打力を上げるための下半身強化だ。昨年12月に行われた合宿の砂浜ランニングでは走るフォームから見直し、脚力強化を図った。「冬の練習があったから、春からは自信を持って臨めた」。地道な努力が、結果につながった。今春は、昨秋に敗れたセンバツ4強の国学院久我山に先発全員安打の2桁15安打6得点でリベンジを果たした。

指導者として常に意識していることは「考えさせる野球」をすること。コーチ時代に前田氏から「教えすぎるな」と言われたのがきっかけ。「敗因を考えるのはもちろん、成功したときもなぜうまくいったのかを考えさせる。出来たときの原因を考えた方がうまくなる」と、指導するうえでの指針にしている。主将の高橋蒼人投手(2年)も「自分で考えることで成長を実感できる」と話す。

選手への愛情は「前田イズム」を継承している。コーチ時代から、入部予定の選手の中学の担任教師と面談を続けている。自らアポを取り、約1カ月間かけて全生徒の担任教師と話をする。「グラウンドでちゃんとやるのは当たり前。学校生活を聞いて、素の性格を知っておきたい」と、入部後の指導に生かしている。

名将前田前監督は「到底及ばないけど、目標です」。背中を追いかけ、甲子園で「帝京魂」を見せる。【星夏穂】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

ノックをする帝京・金田監督(撮影・星夏穂)
ノックをする帝京・金田監督(撮影・星夏穂)
ノックをする帝京・金田監督(撮影・星夏穂)
ノックをする帝京・金田監督(撮影・星夏穂)
校舎には数々の功績の結果が飾られている(撮影・星夏穂)
校舎には数々の功績の結果が飾られている(撮影・星夏穂)
校舎には数々の功績の結果が飾られている(撮影・星夏穂)
校舎には数々の功績の結果が飾られている(撮影・星夏穂)