「能見さんって、実は人間じゃないのでは…と思ってるんですよ。ボク」

能見篤史についてそう話したのは巨人の若き主砲・岡本和真だ。前回の巨人戦(甲子園)で雑談しているとき口にした。

「だってボクが子どものとき、テレビで見ていた能見さんがそのままの姿で今、投げていて対戦したりしてるんですよ。能見さんがマウンドにいるのを見ていつも感じてるんです」

何を言いだすのかと思ったが説明を聞いて納得した。23歳の見立てについては同感だ。今年5月28日で40歳になった能見だが、見た目は若い頃と変わっていない。180センチ、73キロの体形も不変。右足を豪快に上げ、腕を振る投球フォームも変わらない。

近くで見てもシワなど顔にもほとんど変化がないように思える。いわゆる「若見え」だ。中高年なら男女を問わず気になるところだ。聞かないといかん。能見投手、若見えの秘密は?

「そうですかね。特に何もしてないですけど。まあ体形が変わっていないんで。そこが影響しているのかもしれませんね」

普通は年齢とともに体は緩む。しかし能見は変わらない。そういう体質か? そんな疑問に不思議な“秘話”を明かした。

「それがね。逆らしいんですよ。5年ほど前にDNA検査をしてもらって。その結果は…」

ドジャースで投げる前田健太の紹介で、体重が増えにくいチームメート数人(名は秘す)とあるクリニックに出向き、DNA検査をした。その結果は「太りやすい体質」だったという。

「そんな結果が出たのはボクだけ。太らないのは代謝が良いというか、それだけエネルギーを使っているのではということでした」

それはそれでやはり一般的ではない。そして能見は野菜を食べないという。

「先に野菜から食べると太りにくいと言うじゃないですか。吸収しにくいって。だから食べないんです。野菜は。体重が減ってしまうとやはり困るので」

40歳を超えても150キロ近い速球を投げるベテランは4日DeNA戦で筒香嘉智に痛恨のサヨナラ被弾した。それでも帰路は冷静な表情だった。そしてこの日、さらりと1イニング無失点。こういう超人的投手がいるのだから阪神はもう少し勝ってもらわないと、と思う。「Aクラス攻防」のマツダスタジアムでも出番は来るか。(敬称略)

DeNA対阪神 7回に登板した能見(撮影・柴田隆二)
DeNA対阪神 7回に登板した能見(撮影・柴田隆二)